監査業務二課の梅本です。
 
前回のコラムでは、粉飾決算について解説していきました。今回は、粉飾決算が発覚したとき、「払いすぎた法人税はどうなってしまうのか?」というところに焦点をあてて話を進めていきたいと思います。

まず、法人税法上は「粉飾決算」という表現ではなく、「仮装経理」という用語をつかいます。

 

では法人が仮装経理をし、法人税を過大に納付した場合において、仮装経理が発覚したときは、具体的にどのような流れになるのでしょう。最初に結論から言ってしまいましょう。

払いすぎた法人税は、いつか戻ってきます!

 

まず、最初に誰も考えるのが「更正の請求」という手続きです。払いすぎた税金を返してもらうときに、税務署に正しい税額に「更正」して下さいと「請求」するのです。

 

通常は、更正の請求をすれば、払いすぎた税金が返ってきます。

ただし、意図的に仮装経理をしたものを、簡単に税務署が直ぐに還付をしてくれるわけもありません。不正防止の意味も込めて、特例が定められています。それが更正の留保と還付制限です。(法129、135)

 


更正の留保とは、納税者自らが仮装経理について修正経理を行い、かつ、確定申告を提出するまでは「更正をしないことができる権限」を税務署長に与えている事を指します。

 

納税者が更正の請求を行っても、税務署長は一定期間、更正を拒否できるのです。

 

還付制限とは、仮装経理による払い過ぎた法人税の還付について、更正され本来の正しい納税額が確定した場合も、払い過ぎた分は、全額をすぐに還付をしないという特例です。

還付される金額は、更正日の前事業年度の法人税額の範囲内に限定され、その後の事業年度は法人税額から未還付の額を控除することが認められます。

 

もし5年経過時点でも未還付の仮装経理による過大納付額が残っている場合、その時点で残りが還付されることになります。

 

税務署側からの立場にたって、もっと簡単に言えば、

「正しい数字に修正経理をし、その申告書を提出してから還付請求して下さいね!」

さらに

「法人が現在黒字で法人税を払っているのなら、払いすぎた分は、控除して相殺してあげますよ!でももし赤字なら相殺できないので、5年経つまで還付受けられないですよ!」

という事です。やはり大きなペナルティですね。

 

粉飾決算というのは様々な問題があると思いますが、私が一番感じる問題点は、

粉飾により実態から目を背け、シビアな数字での経営ができなくなってしまう

という事です。

これを読まれた経営者様は、粉飾決算に手を染めないようお願いします。

  
コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください


Copyright(c) 2024 FARM Consulting Group All Rights Reserved.