監査二部門の梅本です。

前回は、『減価償却』の基本的な考え方について解説していきました。減価償却の最も重要な目的は「適正な期間損益計算」でしたね。ただし、「適正な期間損益計算」を優先し自由に経費化されては、税法の目的である「課税の公平」を大きく損なってしまいます。
 
今回からは、実際に減価償却という費用を計上するにあたっての、具体的な税務上のルールを解説していきます。まず大きく分けて、減価償却償却する資産「償却資産と、減価償却しない資産「非償却資産に分かれます。「償却資産」は、「建物」「建物付属設備」「車」「備品」「機械」など、非常に簡単にイメージできると思います。
 
では「非償却資産」とはどのようなものを指すのでしょう。
 
減価償却とは、時の経過に伴い価値の減少するものに対して行います。
すなわち、価値の減少しないものは減価償却する必要がないのです。

非償却資産」の具体的例としては、

・土地
・書画、骨とう品
・稼動休止資産

などが有名です。
 
まず「土地
土地は、時価の変動こそありますが、基本的に使用に伴って価値が減少するものではありません。
例えば、土地の上にマンションを建設しても、それを取り壊した後、その土地自体は、通常の価格で購入時に近い価格で売却できるはずです。
 
続いて「書画、骨とう品
土地と考え方は同じです。美術品は、価値が減少していくものではありません。ピカソの絵画を数年間飾ってあっても、基本的に価値は減少しないはずです。
 
最後に「稼動休止資産
減価償却をするのは、事業に使用しているものに限定されます。
工場の機械で使用しなくなり、メンテナンスもされず倉庫で放置されているようなものは、減価償却する事はできません。
 
ただし、美術品についても平成27年より取り扱いが少し変わり、1点100万円未満のものは一部減価償却可能になりました。稼動休止資産も、使用していなければ全く減価償却できないかというと、そういう訳ではありません。
 
繰り返しになりますが「価値が減少する」ものは減価償却可能です。
ただし、「償却資産」「非償却資産」に関わらず、「大きく価値が減少してしまっているもの」については、税務上、減価償却だけでなく、違う方法で経費にする可能性も残っています
 
このコラムを読まれた経営者の方、現在所有資産がどのような状況か、最低でも年に一度は確認してみて下さい。思わぬ節税に繋がるかもしれませんよ。

  
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