監査業務担当の加藤です。
 
「億り人」

株式投資や仮想通貨取引で1億円以上を稼いだ人のことを、そのように言うのだそうだ。
 
「おくりびと」と読む。亡くなった方を棺に納める納棺師を主人公にした、本木雅弘さん主演の映画「おくりびと」をもじった言葉なのだとか。やや不謹慎な感も否めないのですが、最近の仮想通貨への投資ブームによって、ビジネスニュースなどで「億り人」が取り上げられることもしばしば。 
さらに、投資で10億以上稼いでいる人々のことを「自由億」と呼ぶのだそうです。これらの言葉が指すのは、あくまでも投資で稼いだ人のことで、事業で成功した人を指すのではないということです。
 
ニュースで紹介されていた「億り人」の集まるパーティの模様。
サラリーマン風の年配男性や、まだまだ青春を謳歌していてもおかしくない20代と思しき青年。かと思えば、かっこよく着飾った青年実業家風の人もいるし、個人事業でこつこつと商売している若手社長なんかもいる。老若男女問わず、あらゆる世代の人たちが一堂に会して、歓談に勤しんでいる。
 
どんな会話がなされているのかは想像がつかない。少なくとも、普段、僕たちがかわしているようなおバカな話をしているようには見えない。億単位のお金を手にしたもの同士のステイタスを共有しつつも、「情報」を先取りするための貪欲さも垣間見えて、どこか距離を置いている風にも見えたり。
 
なんとなく違和感を感じながらニュースを見ていたわけですが、億単位の「お金」を手にしたこの人たちの頭の中では、どんな思いが渦巻いているのだろうと考えていた矢先、本屋の書棚で目にしたのが、川村元気さんの著書「億男」でした。 

 
図書館司書の主人公・大倉一男は、妻と一人娘の家族三人で「幸せ」に暮らしていましたが、弟がつくった三千万円もの借金を肩代わりしたことから、妻子とは別居生活を送ることになります。
 
昼は図書館司書として、夜はパン工場で働く一男が、大金を手にする日がやってきます。商店街の福引で残念賞でもらった宝くじが、三億円の当選券だったのです。
 
喜んだのも束の間、いきなり億単位のお金を手にしたがために、一男は不安に襲われます。急に大金を手にした人々の、哀れで残酷な末路。噂でよく耳にする話を一男は信じ込み、自らも身を滅ぼすのではないかという恐怖に支配されようとしていたのです。
 
三億円の扱いに困った一男は、大学時代の親友で、今は大金持ちになっている九十九のもとを訪ねます。
 
「お金と幸せの答えを教えてあげよう」
 
そう言って、九十九はスーツケースに詰め込まれた一男の三億円を預かります。ところが…。
九十九は一男の前から姿を消したのです! 三億円とともに。
持ち逃げされたのか? 信じていた親友の裏切りなのか?
九十九の行方を追って、一男のお金をめぐる30日間の冒険が始まります。
 
著名人のお金にまつわる名言やエピソードを交えながら進んでいく物語の中で、ざまざまな“表情”を見せる「お金」
お金=夢。お金=信用。お金=神。お金=愛。お金=悪。お金=罪。お金=欲望。お金=快楽…。
 

手にとって触れることのできる実態のあるものなのに、神だとか悪魔だとか、目に見えない何かに例えられる「お金」。どれもこれも正解のようで、どれもこれも正しくないような気がする中で、唯一、お金の生々しさをが描写されていたのが、一万円札一枚の重さ。一円玉と同じ1g。
 
その価値は誰にとっても同じ。誰にとっても同じ重さだというのに、欲しいものを好きなだけ手に入れることができる人もいれば、「お金」で自らの命を落としていく人もいる。命に替えるには、いささか軽すぎるような気がします。
 
一つ確かなことは、あくまでもお金は人が作り出した「道具」であるということ。何かを成し遂げるための手段であって、それを手に入れることが目的になった時、お金は、その魔力でもって人を翻弄する。時に人としての道を踏み外させようと、人の心を愚弄する。
 
そうならないためには、きちんとお金の事を知り、ほんとうに自分が欲しいもが何なのかを知ること。そこに「お金と幸せ」の答えがあるような気がします。
 

“人生に必要なもの。それは勇気と想像力と、ほんの少しのお金さ”

 
「億男」の物語は、チャップリンの映画「ライムライト」の、この台詞から始まる。
 

“戦おう。人生そのもののために。生き、苦しみ、楽しむんだ。生きていくことは美しく、素晴らしい。死と同じように、生きることも避けられないのだから”

 
人は生まれた瞬間から、確実に死へと近づいている。それは避けることのできない必然。ならば、生きることも避けることのできない必然。生きていることの実感。生の喜びを謳歌するために必要なのは…。
決して大金でなくてよいのだ。「ライムライト」の落ちぶれた道化師カルヴェロが言ったように、“勇気と想像力と、ほんの少しのお金”があれば。

  
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