監査一部門の清岡です。

今回は人件費について考えてみましょう。

経営資源の中で最も大切なのは「人」です。

そして、経営活動としての費用の中で最も重要なものは「人件費」です。

それでは「人・人件費」に関しての、基本的な経営指標の内容について解説していきましょう。

 

人・人件費に関する基本的な指標は

「 1人あたりの売上高 」

「 1人あたりの利益額 」

「売上高 対 人件費 比率」

「 1人あたりの人件費 」

                        の4つです。

 

それぞれの算式は以下のようになります。

 
簡単な例で、これらの指標の使い方を見てみましょう。

科目 前期 当期
売上高 85,000万円 90,000万円
人件費 14,200万円 16,200万円
人  数 50人 60人

 

上記の例でみると、

まず、「1人あたりの売上高」は

【 前期 】 1,700万円 ( 85,000万円 ÷ 50人 )

【 当期 】 1,500万円 ( 90,000万円 ÷ 60人 ) で低下しています。
 
次に、「1人あたりの人件費」は

【 前期 】  284万円 ( 14,200万円 ÷ 50人 )

【 当期 】  270万円 ( 90,000万円 ÷ 60人 ) と、これも低下しています。
 
一方、「売上高対人件費比率」は

【 前期 】  16.7%  ( 14,200万円 ÷ 85,000万円 )

【 当期 】  18.0%  ( 16,200万円 ÷ 90,000万円 ) と上昇しています。

 

これをどのように見るべきでしょうか。

 

● 1人あたりの売上高が下がっており、売上高対人件費比率が上がっているのが問題だ。

  人を入れたのは失敗だ

● 1人当たりの人件費が下がっており、売上が伸びている。まずまずかな

このように、それぞれの指標を単独で見ていたら視点が定まらず、
「人を削減しよう、人件費を下げよう」「とりあえず現状のまま様子を見よう」等
となってしまいます。

これでは、せっかく指標を出しても意味がありませんので、少し複合的に検証してみましょう!!
 
たとえば、次のような見方をしたらどうでしょうか。

● 人員が10人も増えて1人当たりの人件費が下がっているということは、

  比較的若手の人間を入れたのではないか

● 1人当たり人件費が下がって、売上高も伸びているということは、

  売上高対人件費比率は多少の伸びくらいで済みそうなものだが

● そもそも1人当たりの売上高が1,600万円あれば、

  ほぼ同程度の比率(1,600万円×60人=96,000万円⇒16,200万円÷96,000万円=16.8%)

  なのだが、現状はそれにも届いていない

● 思った以上に新人が戦力になっていないのかな、現場の教育はどうなっているのだろう・・・

 

いかがでしょうか。指標と指標の関係を多少意識するだけで、問題らしいものが見えてきます。

もちろん、この後に検証は必要になりますが、少なくとも短絡的に「人の削減や人件費のカット」

もしくは「何も確認しないで素通り」ということはなくなります。

このように、人件費関係の指標は単独ではなく、それぞれの指標の関係を加味して複合的に分析することが大切になってきます。

監査一部門 : 清岡

  
コメント

One thought on “読み方しだいで、こんなに変わる~人件費の指標

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