日本には約1,800の地方公共団体があります。
すでにこれら地方公共団体の多くが、何らかの形で新たな公会計制度への移行を行っています。
そのほとんどは「地方公共団体財務書類作成に係る総務省方式改訂モデル」(以下、「総務省方式改訂モデル」)への移行です。

総務省方式改訂モデルは、決算統計データを活用して財務書類を作成するため、従来の会計から移行しやすく、また、固定資産台帳を「段階的に整備」すればいいため、移行時の負担(固定資産台帳の作成など)が軽減されるというメリットがあります。

しかし、後述しますが、総務省方式改訂モデルには新たな公会計制度に移行する大きな目的の一つである「資産・債務管理」が十分に行なわれないというデメリットがあります。固定資産台帳の整備が必須でないため、作成していない地方公共団体がほとんどだからです。

 

正確な固定資産台帳を作成しましょう

正しい固定資産台帳を作成することで「資産管理」を徹底することができるのですが、作成の恩恵はそれだけではありません。もう一つの大きな恩恵は、地方公共団体が抱えている「隠れ負債」がどれほどあるのかを把握できる点にあります。
つまり地方公共団体が財政を健全化させ、より良い組織として生まれ変わるための第一歩として「正しい固定資産台帳」を作成することは必要不可欠であると言えます。

総務省方式改訂モデルにより財務書類を作成している地方公共団体の皆様は、まず「正しい固定資産台帳の作成」を行ないましょう!

 

地方公共団体が抱える「隠れ負債」とは?

これが
隠れ負債

「隠れ負債」とは文字通り「隠れて表に見えていない負債」です。
そしてここで言う隠れ負債とはズバリ「資産の更新・修繕費用」のことです。
所有資産は道路や橋、上下水道などのインフラや、公民館や学校など多岐にわたりますが、それらの資産が40年~50年経過した現在、老朽化して修繕もしくは更新する必要に迫られています。

では、「潜在的な負債」は一体いくらあるのか?
それを正しく把握できている地方公共団体は多くありません

それはなぜか?

正しい固定資産台帳がないからです。

 

「総務省方式改訂モデル」から「基準モデル」へ

ほとんどの地方公共団体が採用している総務省方式改訂モデルですが、これは簡便法的な会計制度です。
「総務省方式改訂モデル」は決算統計データを活用して作成するため従来の会計から移行しやすく、また、資産評価の方法が簡便なため、移行時の負荷が軽減されるというメリットがあります。
ただ、裏を返せば結局会計が「複式簿記」なっておらず、簡便的な資産評価では正しい貸借対照表を作成することはできません。正しい固定資産台帳の整備も必須ではありません。
そこで必要になってくる会計制度が「地方公共団体財務書類作成にかかる基準モデル」(以下、「基準モデル」)です。

 

新たな公会計制度整備の目的

そもそもなぜ新たな公会計制度の整備が必要だったのでしょうか。
「新地方公会計制度研究会」が公表している「新地方公会計制度研究会報告書」によれば

  • ① 資産・債務管理
  • ② 費用管理
  • ③ 財務情報のわかりやすい開示
  • ④ 政策評価・予算編成・決算分析との関係付け
  • ⑤ 地方議会における予算・決算審議での利用

ということになります。

これは平たく言えば「内部管理の強化」と「外部への財務情報の開示」です。
これは企業会計の目的とも一致します。

 

PPP(トリプルピー)システムの特長

基準モデルに移行する際に、避けて通れないのが「複式簿記の導入」です。

複式簿記の導入と簡単に書きましたが、これまでの単式簿記を捨てて複式簿記を導入することは、地方公共団体にとって大変大きな負担となります。

まずは現行の会計システム自体を入れ替えなければならず、これには多額の費用がかかります。

新たな会計システムを入れれば当然その使い方をマスターするための手間や時間もいりますし、会計システムを入力する職員には複式簿記の知識も必要となります。また、複式簿記を導入すれば必然的に単式簿記よりも仕訳数が増えるため、仕訳入力作業も単純に増加します。

このように、基準モデルで財務書類を作成するためには相当高いハードルを越えなければなりません。

しかし、それらの負担を強いられることなく、従来の会計から基準モデルで財務諸表を作成する方法があります。それを可能にするのがPPP(トリプルピー)システムです。

 

移行にあたって

当事務所では、このPPPを導入して地方公共団体の皆様が基準モデルへ移行できるようお手伝いをさせていただきます。

基準モデルへの移行はいずれ行なう必要があります。それはそう遠くない近い将来であると私どもは確信しています。

また、基準モデルへの移行はどうしてもハードルが高すぎるという皆様は、まず固定資産台帳を整備してみるというのも一つの方法です。

総務省方式改訂モデルで会計を行ない続ける場合でも、固定資産台帳があればより現実に近い財務書類を作成することが可能になります。

固定資産台帳の整備からはじめるのか、基準モデルへの移行までしてしまうのか、一度ご検討下さい。
その検討の中で、疑問などございましたら、当事務所にいつでもご相談下さい。

  税理士法人FCパートナーズ
公会計担当 : 光島(ミツシマ)
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