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オペレーション部門の須藤です。

4月28日の日経新聞に、驚くべき見出しがありました。

「領収書 スマホ撮影→保存」「原本廃棄で経費減」というものです。

 

会社の経費の領収書は、ファイルや封筒に入れるか、台紙に貼って年度毎に保管されているところが多いのではないでしょうか。

貼る場合は、1枚の台紙に複数枚貼ったとしても1年分では結構な厚さになりますし、保管義務要件の7年分(赤字決算なら9年)ともなれば段ボール数箱分になるでしょう。

経団連によると、国内企業が領収書など税務書類を保管する費用は3千億円に上るそうです。

これが電子保存で原本廃棄できるとなると・・・。

 

領収書の電子データの保存自体は、実は平成17年4月から一部可能になっていました。

ただ、要件が複雑であまり利用されていませんでした。

 ・電子データの保存を開始する3ヶ月前までに、

  税務署に申請書を提出

 ・不正防止のため、電子保存できるのは3万円未満の領収書のみ

 ・スキャナはハンディタイプ不可、台の付いている200dpi以上のもの

 ・1枚ずつ、その大きさのままカラーで読み取ること

 ・電子データの作成者と作成日の証明のため、電子署名とタイムスタンプが必須

 ・速やかに検索・抽出・出力できるようにしておく

 

台紙に複数枚貼ったものをバンバンとスキャニング⇒そのままデータ保存できれば楽チンですが、まずは3万円以上か未満かで分け、3万円以上のものは台紙に貼り、未満のものを1枚ずつ必ずカラーでスキャニングして、検索できるようファイルネームを変えて・・・なんだか気が遠くなりそう。

これなら、全部貼ってしまったほうが手間がかからないですよね。

処理の一環としてスキャニングすることはあっても、保存要件を満たさないため、原本も保存しているところがほとんどでした。

 

そこで、平成27年度税制改正の大綱の「納税環境整備」に「税務関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し」として、3万円未満という金額基準を廃止する見直しが行なわれたのです。

(平成27年9月30日以降に行なう承認申請について適用)

http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2015/27taikou_06.htm#06_03

 

金額基準の廃止以外に、「電子署名不要」「大きさに関する情報の保存不要」「カラーでの保存不要(白黒OK)」が決まっています。もちろん、これは内部統制を担保するため、相互牽制、定期的なチェック及び再発防止策を社内規定等において整備する必要があります。

 

それでも読取がスキャナに限定されていることに経済界の不満が大きいとして、スマートフォン撮影⇒原本廃棄の検討を財務省が始めた、というのが今回の記事です。

それが認められれば、外出先で領収書をもらってすぐに撮影し、経理部門に直接送るなど効率化が期待できる、としています。

今秋にも平成28年度税制改正を決める与党の税務調査会に提案し、来年中の省令改正を目指すようです。

 

不正ができないようにするのは当然のことながら、できれば処理も煩雑でないように・・・。

どのように変わるか、じっくり見守っていきたいです。

  
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