監査業務第一課の加藤です。

不朽の名作というのは、いつの時代にあっても、その普遍性を失わない

もの。何十年ぶりかに鑑賞した「カサブランカ」は、今でも色褪せる

ことなく、僕の目に鮮明に映ってきました。

といっても、作品自体はモノクロ作品なんですけどね。

 
 

第二次世界大戦中のフランスとモロッコを舞台に、第二次世界大戦という戦争の惨禍に翻弄され、

引き裂かれる恋人たちの姿を描いたラヴロマンス。
 

男女の三角関係に激しく揺れ動く女心と、微妙にすれ違う男心が織りなす燃えるような恋模様を、

これでもかと言わんばかりの名台詞の数々で彩った「名ゼリフの宝庫」。

まだVHSテープが全盛の時代。テープが擦り切れるんじゃないかというほど、何度も何度も繰り返して

観たシーンが、いっぱいありました。

 

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陥落直前のパリ。

アメリカ人男性のリック(ハンフリー・ボガート)とその恋人イルザ

(イングリット・バーグマン)は、戦禍を逃れるため、パリを離れる

はずだった。しかし、イルザは約束の場所に現れなかった。

一通の手紙だけを残して。
 

 

理由も告げず彼の元を去っていった彼女の身に何があったのか。

 

数年後、仏領モロッコでバーを営むリックの元に、イルザが現れる。

そして、その存在に苦悩するリック。

彼女には伴侶がいたのだった。

 

"Of all the gin joints in all the towns in all the world, she walks into mine."

「世界には星の数ほど店はあるのに、彼女は俺の店にやって来た」

 

宿命のようなものを感じつつも、時代が許さなかった恋人同士の、あまりにも皮肉な再会。

店を閉めた後、バーで一人酔いつぶれるリックは、ピアノプレイヤーのサムに、“あの曲”を弾けと命じる。

 

 
それは、長年、リックが店での演奏を禁じていた曲。“あの日のパリ”を

思い起こさせるが故に、リックの中でずっと封印されていた曲。
 
"As Time Goes By"

 

ためらうサムに「弾くんだ!」と、強く迫るリック。

演奏とともに混濁していく意識の向こうで、“あの日のパリの思い出”が甦る…。

 

どんなに時代が過ぎようとも、普遍的に変わることなき大事なものがある。

発明や便利なものが、どんどん時代のスピードを加速させていくけれども、

誰かを好きになったり、夢中になったりすることは、

どんな未来が訪れようとも揺らぐことのない大事なもの。

だから、これだけは忘れないで。

 

サムが弾き語る普遍的な愛の歌が、リックの苦悩をさらに加速させる。

 

未練たらしい男の幻想、などと言うなかれ。

不朽の名作の中にあって、しかも、ハンフリー・ボガートのようなスマートな男が演じると、ファンタ

ジックな状況ですら、恐ろしいまでの説得力を持って迫ってくる。

 

メランコリックな男心の行く末は、これぞ男の美学と言われるほど

ファンタジックなラストシーンで飾られる。
 
そこに登場するのが、かの有名なセリフ。

"Here's looking at you, kid"

「君の瞳に乾杯」

 

「今は君しか見えない」という具合に訳すんでしょうか。

それを、「君の瞳に乾杯」とあてる翻訳者のセンス。

良い子の僕たちが安っぽく使ったりしようものなら、大やけどすること必至の超絶名翻訳ですね。

繰り返し見続けた名シーンですけど、齢40を超えた今もなお、そんなセリフを使うようなシチュエー

ションに巡り合ったためしは一度も無く…。

 

「ボギー、俺も男だから、一度ぐらいはそんな台詞言ってみたいぜ!」

 

そんな心の叫びとは裏腹に、今後の人生においても、そんなシチュエーシュンに遭遇することは絶対に

無いと断言するのでした。微かな期待を残しながら…。

 

ちなみにこの作品。本国アメリカは著作権の更新がなされず、パブリックドメインになっており、

また、日本でも著作権保護期間が終了していることから、現在はパブリックドメインになっています。

複数のメーカーからパブリックドメインDVDなどがたくさん発売されていますので、比較的容易に

手に入る作品です。

 

監査業務第1課 加藤 智弘

  
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