監査業務第一課の加藤です。

 

「戦争映画なのに、

なぜに、こうも優しい気持ちになれるのだろう。

なぜに、こうも心の中が暖かくなるのだろう。」

 

劇場を後にしながら、

このフレーズが頭の中から離れなかった。

 

メジャーでなくとも勝機あり。
クラウドファンディングによって作られた一本の映画が話題に。

 

現在、公開中の劇場長編アニメ「この世界の片隅に」
 
太平洋戦争中の広島市と呉市を舞台に、一人の男性に見初められ、18歳

で嫁ぐことになった“すず”と、彼女を取り巻く人々の、戦時下での日常

を綴ったこの作品が、今、話題を呼んでいます。

全国63館という小規模での公開ながらも、11月12日の公開初週から全

国映画動員ランキングで10位を獲得。二週目前半には興行収入を5,679

万8,980円と大きく伸ばし、観客3万9,638人を記録。

上映劇場では連日満席の立ち見状態が続き、配給元である東京テアトル

の株価がストップ高になるなど市場にも大きな影響を及ぼしています。

 

そして現在、公開劇場数も増え、ランキングも6位まで上昇するなど、その勢いは日毎に増しています。

メジャーな宣伝広告も使わず、メディアでの露出もほと

んど行われていないこの作品が、かくも好業績のスター

トを切れたのは、映画の支援者や映画ファンによるSN

Sでの情報拡散と口コミ効果によるところが大きいとは

言われていますが、その効果を生み出した源泉は何なの

か。

それが、この作品のプロジェクトが採用していた資金調達手段「クラウドファンディング」なのです。

 

「クラウドファンディング」とは何ぞや。

 

文字通り、クラウド(群衆)とファンディング(資金調達)とを結びつけた造語ですが、多くの人々

からインターネットなどを通じて資金を募り、プロジェクトに活かす資金調達手段のことです。

readfor-0

ファンドと聞くと「投資」「金銭的リターン」=ハイリスクハイリターン、と直結しそうですが、

クラウドファンディングには、金銭的リターンが伴う「投資型」に加えて、金銭的リターンのない

「寄付型」や、プロジェクトによって提供される権利やインセンティブを享受することで支援を行う

「購入型」というものが存在します。

このバリエーションの多さ故に、映画やイベントへの出資、ファンによるアーティストの支援や、ゲー

ム、フリーソフトなどの開発支援や試作品製作などのものづくり支援、地域の防災やコミュニティ支援

など、幅広い分野において活用されています。

 

資金調達の概念を覆される「クラウドファンディング」

 
かくいう私も、その存在を知りつつも、今まで調べることもなく過ごしてきたため、いささか勉強不足の

身でありまして、過日、某セミナーにて、クラウドファンディングの魅力と可能性について触れたばかり

であります。そのセミナーのゲスト講師として招かれていたのが、クラウドファンディング業界の先駆者

であるREADYFOR株式会社の代表取締役・米良はるかさん。
 
とても素晴らしいプレゼンテーションで「クラウドファンディング」の魅力をわかりやすく伝えて下さっ

たのですが、これほどまでに可能性に満ちた資金調達手段だったとは、知らなかった自分が愚かに感じま

した。まず、「資金調達=お金」の概念を覆されます。

 

金融機関からの資金調達だと、「お金を借りてハイ終わり」です。

株式や社債の発行だと、「出資者を募って、お金を集めてハイ終わり」です。

 

クラウドファンディングは、お金だけでは、終わらないのです。

readfor-1

 

1.ビジネスであるか否かを問わず、「したいこと、やりたいこと」を実現させる手段であること。

2.どちらかと言うと、資金調達手段というよりも、広告宣伝(PR、プロモーション)や

マーケティング色が色濃い。

3.ビジネスマッチング機能があるため、BtoB、BtoCなど、見込み客獲得や、のちの新規事業

展開など、ビジネスに広がりが出てくる。

 

これだけでも、金融機関での資金調達だけではできないような付加価値が生まれます。

そして、金融機関であれば非常に困難(と言うか、不可能に近い?)とも思えるのがが、コレ。

 

4.どんなに馬鹿馬鹿しいと思うような企画でも、真剣に取り上げてくれる。

 

常識的な判断とは何ぞや。

これこそが、クラウドファンディングの肝と言っても過言ではないでしょう。 

 

人は誰しも夢見る生きもの。その実現可能性を模索する手段。

 
ビジネスユースだけでなく、その間口を個人にまで広げることによって、あらゆるニーズに対応する。

募集中や成立案件を見ていると、思わず吹き出してしまいそうなものや、マニアックさ故にニヤリとして

しまうようなものもあって、見ているこちらまでワクワクしてくる。

シビアなビジネスの世界で資金調達の難しさを謳う一方、視点を変えてみると、このワクワク感を提供し

ながら資金調達を可能にするクラウドファンディングの世界の素晴らしさに気づかされる。

 

夢は無限大にあるとはよく言われますけれども、伝統や創業の歴史を重んじる日本独特の企業風土を考え

ると、まだまだ、チャンスを掴みたい人たちへの門戸は狭いなあと思うのがこの日本。

そんな中にあって、夢を叶えるためのサポートをし続けている企業がそこにある。

 

可能性を見出すことができれば、夢は必ず実現できる。

 

それをクラウドファンディングの世界は証明してくれているような気がします。

百聞は一見にしかず。まずは、「クラウドファンディング」で検索をしてみて下さい。

たくさんのサービス提供会社と、たくさんのプロジェクトに出会えるはずです。

そして、その魅力の一端に触れてみて下さい。きっとワクワク感が止まらなくなるでしょう。

ひょっとしたら、忘れかけていたあの頃の夢や情熱を、思い出すきっかけになるかもしれませんよ。

 

監査業務第1課 加藤 智弘

*文中のイラストは、「この世界の片隅に」公式HP、クラウドファンディングサイト「Makuake」、READYFOR株式会社のHPから拝借しました。

  
コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください


Copyright(c) 2024 FARM Consulting Group All Rights Reserved.