F1000015.JPG「5×10」のフラッグがはためく下に広がるグッズ売り場。親子連れ、カップルと様々な人たちが買い物を楽しんでいる。会場入り口付近の扉前には、音漏れを聴く人たちが集う。耳を傾けてみると、かすかに聞こえるではないか。何を歌っているかまでは判別できない。だが、ドアを隔てた向こうで歌っている嵐の息吹を少しでも感じる事ができるのだ。8月の国立競技場では多くのファンが音漏れを楽しんだと聞く。なるほど、その気持ちがよく理解できる瞬間だった。

しばし会場まわりの雰囲気を楽しんだ私は、任務にとりかかった。”開演後だと並ばずに買える”という事前情報の通り、売り場への入場待ち時間はゼロ。早速、売り場へと潜入する。どうやらグッズごとにブースが分けられているようだ。まずはK先輩御所望のエコバックをやっつけにかかる。難なくクリア。私も購入グッズ持ち帰り用のショッピングバッグとして一枚買っておく。その調子で、次なるグッズ「メンバーの顔写真入りジャンボ団扇」の攻略にさしかかる。

このジャンボ団扇は、嵐の5人分を買い揃える。先輩たちが担当するメンバーの分と、私が担当するメンバーの分。合わせるとちょうど5人が集まる。本日最大のヤマ場となる任務だ。

「5人分の団扇・・・どうやって注文する?」

ここ数日の間、私を苦しめ続けていた疑問。メンバー一人一人の名前を、何と呼んで注文すればいいのか? 仰々しいが敬称をつけてみる? いや「さん」付けだろうか? 少し他人行儀。「くん」付けはどうだ? 注文する自分の姿を想像してみる。ちょっと照れくさい。いっそのこと、5人とも愛称で注文すれば? もっと照れくさい。実物のジャンボ団扇を見るのも初めてなら、買うのも初めて。心の中で葛藤する私に、誰も買い方を指南してくれる人などいない。そして、非情にも、私の順番がやってきた。ブースの中でニッコリ微笑むお姉さん。頭の中がパニックになりながら、私が放ったのは、この一言。

「メンバー5人分お願いします!」

爽やかに言ったつもりだったが、少々たどたどしかった。だが、通じた。悩むほどの事ではなかったのだ。あれやこれやと考えを巡らせていた自分が、とても恥かしい。

「松本さ~ん。桜井さ~ん。相葉さ~ん。二宮さ~ん。大野さ~ん」

声高々に、メンバー一人一人の名前を呼びながら、お姉さんは団扇を私の目の前に並べていく。団扇の中で、5人が私を見て微笑んでいた。ついに、手に入れてしまった。商品に間違いがないことを確認した私は、ほんのりと汗ばんだ手に握りしめたお札を差し出した。

ヤマを越えた私は、その勢いでペンライト3人分と自宅用小物類を購入し、本日の任務すべてを終了させた。爽やかな夜風に吹かれながら、少しずつ冷静さを取り戻していく頭の中で、私はようやく気づいた。グッズ売り場に入場していた成人男子は私一人だったということに。彼女と一緒にやってきた男子諸君もいたが、売り場場外から見守る程度。中に入って買い物に夢中になっているスーツ姿のアラフォー男子の姿は、周りにどう映っていたのだろう。別に男子禁制という訳ではないのだから気にすることはないし、恥ずかしがることでもない。だが、何の違和感もなくその場所にいたという事に、私は衝撃を受けた。それほどまでに、私の心と体は、ARASHICに染まっているのである。

  
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