2a73b9803ec301dfa2b61bdf2d153f86最初に勤めた会社は、私が社会人七年目の春を迎える前に倒産した。

いつもより一時間も早く出社し、身支度を整える。
午前9時になれば、東京地裁に破産申立が提出される。

「東京本社から役員がやってきて、詳しい説明がある。
それまでは、できるだけ会社から離れるように!」

ただならぬ緊張感の中、「解散!」の号令とともに、皆が一斉に会社を飛び出して行った。

指定の場所での集合時間は正午。それまでは、誰とも接触せずに時間をつぶせという。映画館の暗闇に紛れてしまえばいいか、とも考えたが、今の状況を考えれば、さすがにそれは不謹慎だ。

枯れた銀杏並木が寒々しい影を落とす朝の御堂筋を、颯爽と歩くビジネスマンたちに紛れて歩きながら、自分には、昨日と同じように座るデスクがない事を痛感する。

  “会社なんて、簡単に潰れる”

街を歩きながら、生涯初めて味わった“倒産”という現実。バブル崩壊後の厳しい時代だったとはいえ、当時としては倒産する会社は珍しかった時代。

あれから十数年。いくつか職を転々とし、ようやく今の仕事に落ち着いている。毎日のように会社が潰れていく時代。銀行ですら統廃合する時代。そんな中で、いろんな会社の社長さんのお話や、経営事情を見てきた私は、次第にこう考えるようになった。

  “そう簡単に会社は潰せない”

家族、従業員、取引先、そして地域社会への影響。企業は、これらに対して社会的責任を負っている。
事業を続けていくことこそが、その責務を全うすることになる。
それ故に、会社を潰してしまうということには、大きな痛みが伴う。とても勇気のいる決断でもある。

私が勤めていた会社の場合も、社長にとって“破産”という選択肢は、苦渋の決断だったのだろう。

金融円滑化法は、来年3月末で期限切れを迎えることになりそうです。そうなった時、まことしやかに噂されている“大倒産時代” が来るのでしょうか。

政府や金融機関は、それを回避するための政策を検討したり、再生支援の取り組みを始めたりと、慌ただしく動いているようです。

直近のニュースでは、日本政策金融公庫が、中小企業の再生支援に本格的に乗り出します。条件変更に応じている中小企業の中から、大口融資先150社を重点的に、約2,800社が対象。H24年3月現在で約27万社が条件変更している中での、たったの1%です。

政策としては、官民ファンドによる投資基金の設立なども検討されているようですが、すべての企業が恩恵を受けられるのかどうか。条件をクリアするための、様々なハードルが待っているかも知れません。

もはや、倒産延命やモラルハザードを引き起こすような安易な救済策ではなく、真に再生が望まれる企業にしか、救いの手は差し伸べられないのです。

  生き残れるかどうかの境界線。

やはりそれは、社会的責任を全うするという気概=事業意欲を持った企業なのではないでしょうか。
しかし、気概があっても、土俵に上がれなければ勝負に挑めません。
そのためにも、今、やるべきこと

対外的にも対内的にも強い会社になれるよう、力を保持する必要があります。
では、何をすべきなのか。
やはり、大事なのは

自社の強みと弱みの両方を知るということ。

 

今回は思い出に浸ってしまい長くなりましたので、続きは次回で詳細に述べたいと思います。

  
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