監査一部門の牟田口です。

先日の新聞にこんな記事がありました。
 

<法制審>個人保証原則認めず 中小企業融資で民法改正検討

 

こんなこと本当に出来るの?というのが最初の感想です。

確かに、最近の金融機関の融資を見ていると、他人の個人保証は以前ほど要求されないという傾向にありました。でも、民法改正してまで認めないとか・・・そんなことができるのか???

中小企業が運転資金などで融資を受ける際には、ほぼ100%代表者の個人保証が必要となります。さらに奥さんや親類、それだけでなく他人も用意してくださいという場合もあります。

しかも、そのすべてが連帯保証です。『催告の抗弁権』『検索の抗弁権』『分別の利益』 がありません。

 
簡単に言うと・・・
  ● 「あいつ(主たる債務者)に先に行ってくれ!」 ・・・ 『催告の抗弁権』

  ● 「あいつの財産から返済してもらえ!」 ・・・ 『検索の抗弁権』

  ● 「保証人は3人いるから保証は1/3にしてくれ!」 ・・・ 『分別の利益』

 
と、交渉しても取り合ってくれません。

連帯保証人になると自分が借りたことと同じになってしまうのです。

 

パターン1 【Aさん(事業主)・Bさん(Aさんの子)】

BさんはAさんの事業資金の保証人になっています。Bさんが学生のときに保証人になりました。その後Bさんは立派なサラリーマンになっています。一方Aさんの事業は売り上げが伸びず、リスケして借り入れはまったく減っていないという現状です。今のままで行くとどう考えても返済のめどはありません。そうなると近いうちに銀行はBさんに連絡することになりそうです。
 
 

パターン2 【仲の良いCさんとDさん】

学生時代からの友人で、それぞれ起業し羽振りも良かった二人でした。運転資金のためそれぞれ銀行から借り入れお互いに保証人になっていました。しかし最近Cさんの事業が悪化。返済は全くできない状態になりました。Cさんは奥さんと離婚し、財産もすべて奥さんのものになっています。銀行は当然Dさんのもとへ連絡することになりました。 

 

パターン3 【Eさんとその元妻Fさん】

事業主Eさんは最近の返済が滞りがち。そろそろ銀行は元妻Fに連絡する予定。夫婦関係であった時代にFさんは保証人になりサインしました。いまは再婚して子供もおりそんなことはまったく記憶にないでしょう。しかし近々思い出すことになりそうです。

 

保証人になるパターンはいろいろ。ほとんどそのときは深く考えずサインしています。
が、実際に「連帯債務者=債務者」であることを実感する時期がくることになるかもしれません。

反対に貸す側の金融機関にとっては債務者が返してくれなくても、連帯保証人がいれば回収できるんですから、こんないいことはない。

そうです。そんないい個人保証を、金融機関が「はい、そうですか」と手放すのか? と思うのです。

そこで、お上の登場です。まるで水戸黄門が印籠掲げて出てきたみたいじゃありませんか?

「保証人たちを解放せよ!!」と。

ぜひぜひこの法案通してくださいね。

(イラストは毎日新聞記事より)

  
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