「ものづくり」に携わる全ての人、働くすべての人への応援歌「下町ロケット」

 

監査一部門の加藤です。

下町ロケット-1日曜日の夜に、久しぶりにワクワクドキドキするドラマがやってきました。現在放映中の池井戸潤原作の「下町ロケット」。

 

ようやくロケットの打ち上げに成功した佃製作所の新たなる挑戦は、“人体”へ。人工心臓に搭載されるバルブや人工弁の開発を巡って、権謀術数渦巻く医学会と町工場が丁々発止を繰り広げながら日本の医療の技術革新に挑んでいく。中小企業の意地とものづくりの素晴らしさを賛えた骨太なドラマづくりは、毎回、涙なしには見られません。

 

「阿部ちゃん」こと阿部寛さん演じる社長の佃航平は、コミカルな要素を盛り込んだところなんかは原作のイメージとは一線を画していて面白いし、従業員たちの前でも、裁判所の証言台の前でも平気で泣けてしまう涙もろいところなんかも親近感が持てて、なかなか面白い経営者像を作り上げているのではないかと思います。

 

しかし、さすがは池井戸作品だけに、「銀行さんよ、お主も悪よのう」的な描写がたくさん出てきて、ん? やっぱり金貸しって「悪」なのね、と妙に納得してしまったことは言うまでもありません。

現在放映中のドラマ版とほぼ同時進行で「下町ロケット2」の原作を読んでいるわけですが、続きが読みたくてたまらないのをこらえて、今この原稿を書いているわけです。

 
 

借金することの大きなメリット「財務レバレッジ効果」とは。

 

さて、第二回目の終盤に、「借金」のメリットについて語ります、と書いてから随分と時間がたってしまいました。そろそろそのあたりに触れていきたいと思います。

そもそも借金にメリットなどあるのか、と言われそうで、巷では「百害あって一利なし」と主張する論調も見受けられます。しかしながら企業活動に投下する資本は、自己資本(株式)だけで賄えることは稀であり、他人資本(借金)も欠かせないものである、という一面も持っているわけです。

 

では、企業にとって「借金」のメリットとは何でしょうか。

それは、少ない元手でも借金を利用することによって「企業価値を最大限に高める」効果があることです。

ファイナンスで言うところの「財務レバレッジ効果」とよばれるものですが、それを理解するためには、まず「財務レバレッジ」を理解する必要があります。

 

企業の安定性を評価する指標に、自己資本比率というものがあります。企業が所有する総資本(総資産)のうち、どの程度の自己資本(純資産)で賄われているかを示す指標です。


財務レバレッジ-1

 

その逆数になるのが財務レバレッジであり、自己資本に対して何倍の総資本を事業に投資しているかを示す指標になります。

財務レバレッジ-2

 

自己資本と他人資本。企業に投下される資本は株式と負債(借金)の形態をとり、それらをどのような割合で事業に投下しているかを示している数値でもあります。

その投下資本によって生み出された利益効率を示す指標に、ROAROEといった指標があります。

ROAとは、「Return of Asset」の略で、総資本(自己資本+他人資本)によって生み出された利益がどれほどのものかを表した指標で、総資本営業利益率と呼ばれます。

 

財務レバレッジ-3

 

分子には営業利益が入ります。この営業利益から負債に対する金利を差し引きし、法人税額を控除した残額が当期純利益となります。

 

そして、当期純利益を株式、つまり自己資本のみによってどれほど生み出したかを表す指標がROE(自己資本利益率)なのです。

投資家の間では、このROEの指標によって株主から預かった資本がどれだけ効率的に利益を生み出しているかを計り、自分たちの投下資本が企業価値にどれほど貢献しているかを判断しているのです。

 

財務レバレッジ-4

 

この式を分解すると、

財務レバレッジ-5

 
 

となります。

 

上の式からもわかるように、自己資本利益率(ROE)を高めるためには、

①採算性(売上高純利益率)を上げる

②資本効率(総資本回転率)を上げる

③他人資本を活用し、財務レバレッジを高める

そうことによって、達成することができるわけです。

 

ここで考えるべきことは、資金調達コストです。

自己資本の場合、株主資本コストがかかります。投資家たちが企業に期待する収益率がそれにあたります。

借入金のような金利負担ではなく、利益水準に応じた株主への配当が生じます。会社の利益が増えれば、それに準じて配当の支払いも増え、それだけキャッシュアウトすることになります。

 

一方で、他人資本を活用する場合、負債コストとして金利負担が生じます。これは債権者が期待する収益率であり、有利子負債率(支払利息÷有利子負債残高)や社債の利回りによって与えられます。契約に基づく固定的なコストであり、会社の利益が増加しても、契約金利以上の資金調達コストはかかりません。

 

このように他人資本の固定的な資金調達コストの特性を活かして、最大限の利益をあげていく、あるいは、ROEを引き上げる効果を、テコの原理になぞらえて財務レバレッジ効果と呼びます。

 

さて、ここらあたりまで説明してきたら、少し頭の中がゴチャゴチャとしてくる頃だと思いますので、財務レバレッジの効果については、次回以降に、簡単な事例を交えながら説明していきたいと思います。

 
 

監査業務第1課 加藤 智弘

*文中の写真は「下町ロケット」HPよりお借りしました。

  
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