kiba.jpgこの著者の作品って、取り上げる題材はいいんだけど、全然つっこみが足りないんすよね。
随所にみられる、上から見下ろすような文章と、なんでも知ってるぞみたいな、欺瞞さえ感じる表現。ノンフィクション作家としてはどうなんでしょう。えらそうなんすよね(えらいのかな)。

さて、この作品は「江夏への旅」ということで、王や長島が活躍した、戦後からの野球界が書かれています。まあ、なぞる程度にしか書かれてないので、リアルタイムではない僕の世代には、どうでもいい気がします。これで懐かしいなあなんて思う人もいるんでしょう。あとはお決まりの、最近の野球はつまんない、選手は根性がないていう論調です。
で、ついでにスポーツジャーナリズムについても、辛口批評です。
いわく、最近の記者は――
選手と親しくなろうとしない
全然足を使って調べない
――そうです。じつにえらそうな人ですな。
じゃあ、自分はどうかというと、「大阪ブルース」という章で、こんな段があります。
「江夏は大阪の歌が好きだ。お気に入りのひとつは、BOROの歌う『悲しい色やね』。ふと口ずさむときがある。」
ということで、そのあと歌詞がえんえんと書いてあるんですけど、『悲しい色やね』は上田正樹でしょう。なんか、『大阪で生まれた女』と勘違いしているような気がします。ちゃんと調べて書かないとあかんと思います。こういう間違いにつっこみもいれない編集者ばっかりなんだろうなあ。

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