oprd.jpgとても読み応えのある、いい作品ですが、残念なのはこの作者特有の「おセンチ」な展開です。もう登場人物はメロメロですし、セリフもガンダムアニメみたいで、しらけます。かなり読み飛ばしてしまいました。

一体こいつらは、何のために戦ってるんだ?テロでも戦争でもなくて、人はたくさん死ぬくせに、悲しくもなんともない。どこにも感情移入できないまま、物語はヘローっと終わってしまいます。

多分、作者も悩んでるんだと思います。それは、現代のパワーバランスについて。もう自衛隊だ平和憲法だと、こだわってられないくらいに世界は動いています。そして、日本の「戦争放棄」という思想の斬新さが、多くの人の心に響いてきて、「国家」ではなく「人類」なのだという、新しい平和のかたちが模索されているのです。

「亡国のイージス」のときは、まだよかった。シンプルなメッセージで相手を説き伏せ、リアルが幻想につきつける矛盾によって、物語が力を持ち得ました。でも、今の作者には、その辺の迷いがあって、いまいち照準が絞れないのでしょう。年とった、お金持っちゃった、てのもあるかな。そう考えると、このお話の核をなす「新しい言葉」という部分、結局作者も責任が持てないまま放っておかれちゃった、というところでしょう。

でも、お台場を舞台にした戦闘の描写と緊迫感は、さすが。うーん、惜しい。

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