Roswell.jpgいやあおもしろい。
篠田節子の真骨頂ともいうべき作品です。650ページほどあるのですが、一晩で読んでしまいました。目がしばしばー。

ある過疎の田舎町です。スキー場は撤退、ゴルフ場も開発中止、3セクでつくった遊園地も廃園。温泉もでなければ、歴史がある町でもない。そんな町を再生しようと奮闘する若者たち(中年かな)のお話です。
なーんにもない町で、若者(中年)たちが考えたのが、「不思議スポット」として売り出すことでした。UFOがでるぞ、古代遺跡はあるぞ、座敷わらしもでちゃうぞ。
というあたりで、観光客が押し寄せる町になるのですが・・・。まあ、笑いあり、涙あり、考えさせられるところもあり、密度の濃い、読ませる作品です。

フィクションではあるのですが、現代の「地方」が持っている問題を浮き彫りにしていきます。過疎はもちろん、高齢化と、なによりも未来への閉塞感。さらに、いわゆる「行政」をからめたネタですから、この作者は縦横に語ります。役場の課長・石井と主人公との対決が、手に汗握ります。

この作者のもうひとつの持ち味は「ホラー」。
今回のお話では、まあ幽霊チックな描写もあって、まあそれはそれで怖いのです。でも一番こわいのは、自分のついた嘘が、どんどん大きくなっていく、そして、それが止めることができず、さらに大きな嘘になっていくという、そういうこわさ。この、ひしひしと登場人物をしめあげていく感じは、スティーブンキングばりのこわさです。
「地方」の問題は続いていきますが、読後はある種のふっきれた爽快感があります。いつからこういう作風になったんだろ。

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