監査業務第一課の清岡です。
先日、先輩スタッフとの会話で「『スタートトゥデイ』のROEがとても高い!」という話になりました。今月、時価総額1兆円を超えたことで話題になった「ZOZOTOWN」などを運営する小売業の株式会社スタートトゥデイですが、ROE(自己資本利益率)は驚異の72.7%で、ROA(総資産利益率)も58.3%と、共に業界で一番高くなっています。


 

個人的には、ROEが高くなるのはサービス業かなと考えていますので、ZOZOTOWNのような小売業のROEの高さに驚きです。ただし、ZOZOTOWNは、店舗を持たないでネット販売のみなので、IT企業に近いのかもしれません。

 

いずれにせよ、経営指標を見るときは比較対象が無ければ意味がありません。そこで業種別ROEを確認すると、小売業で8%弱、情報・通信業で11%弱これを見てもスタートトゥデイの高さは群を抜いていることが分かります。

 

このように、まずは同業他社の平均を知ること、そして過去の自社との比較が重要になります。指標は基準があってはじめて意味をなしてきます。

 

それでは、ROEについて見ていきましょう。

 

ROE(自己資本利益率)とは・・・

簡単にいうと

株主に出資してもらったお金(自己資本)を使って どれだけ儲けたか(純利益)

を表している指標です。

 

これは、第二回に記載したROA(総資産利益率)と並ぶ、二大経営指標です。
※ ROAについては、過去のブログを参照してください

 

計算方法は簡単

自己資本利益率(ROE)= 純利益 ÷ 自己資本

 

もう少しバラしていくと、次の3つの指標を掛け算することで求めることが出来ます。

ROE = 売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ

それぞれの指標を細かく見ていきましょう。

 

売上高純利益率(収益性)= 純利益 ÷ 売上高

売上に対してどれだけの利益を上げることが出来たかを示す指標です。
利益率が高まるとROEも高まります。

 

総資産回転率(効率性)= 売上高 ÷ 総資産

事業に投資した総資産がどれだけ有効に活用されたかを示す指標です。
回転率が上がればROEは高くなります。

 

財務レバレッジ(安全性)= 総資産 ÷ 自己資本

負債(借入金、社債)を使い、自己資本に対して何倍の資産を作ったのか、または事業規模を示す指標です。負債の増加や自己資本の減少でROEは高まります。

 


 

このように経営指標を細かく分解することにより、より詳細に改善方法を見つけることが可能となります。よって「収益性」「効率性」「安全性」のこれら3つの指標を改善すればROEは高まります。

 

先日(8月3日)の日経新聞にも載っていましたが、2大経営指標(ROE、ROA)のそれぞれの指標の表すところが違うため、2つをセットに見ることが大事になります。

 

ちなみに、ROEは「株主に出資してもらったお金を使って、どれだけ儲けたか」を表すため「株主目線」、ROAは「企業が事業のために使った資産で、どれだけ儲けたか」を表すため「従業員目線」とも言われています。

 

「うちの会社は、株主重視だからROEを高める!!」
などと偏った考えはしないで、何れも大事な指標ですので自社の現状を知り、改善部分は改善していくことが重要です。

 

* 文中の図・数値は、週刊ダイヤモンド(2017.6/10号)より引用しました

  
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