中年男がある日突然死して、その記憶を持ったまま、25年前に戻ってしまう、というSFです。「もしも人生をやりなおせたら」というのは、SFでは、やや古臭いテーマです。

男は競馬とかメジャーリーグの結果を知っているので、ギャンブルで大儲けします。
そのお金をさらに次のギャンブルに費やして、あっという間に億万長者。
世の中がこれから変わる方向を知っているのだから、失敗なんてしない。望んでいたものすべてを手に入れて、なんて羨ましい人生でしょう。
終いにはアップルコンピュータのパトロンまでやっちゃいます。

で、これだけではただ歴史をなぞった、ご都合主義の小説で終わってしまうのですが、そうでないところが、この小説の深いところです。物語の前半に、また主人公は死んでしまって、同じところからやり直すわけです。何度も何度も、死んじゃうんです。

ここから、さまざまな人生を男は生きていくわけですが、本当に大切なものはなんだろう、なんのために人生やっていくんだろう、どんな人と出会い、一緒に過ごすのだろう。そんなことを真面目に考えていくのです。物語はSFの手法を採りながら、時間の持っている深みとか、人と人との関係、愛のかたちなんかを、しみじみと堪能できる作品です。

一度死んでからが、おもしろい。これも人生かも。

ちなみに、この作品は「コミックバンチ」という青年漫画誌で連載中です。5年ぶりでコンビニで漫画など立ち読みしました。舞台は日本で、いかにも若者がよろこびそうな、ご都合主義なエロ漫画でした。こうでないと、売れないのかなあ。
「あぁーん、若いのになんてテクニシャンなのおおぉおぉ」みたいな感じでおねえちゃんと絡んでましたね。羨ましい。

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