2008.7.21

カテゴリー 読書感想文

生まれてきたからには、何かをするために生まれてきたのだと思いたい。何かを残して、何かをひとに伝えて、そして死んでいきたいと思うのです。たまあに、そういう人の話を聞きます。最近では、北海道国際航空の社長、濱田輝男。事業を立ち上げて、それがいよいよ動き出したと思ったら、死んじゃうというのは、まったくその一個人の運命でしかないと実感するのです。 例えば、人をめちゃ感動させる映画を一本つくって、それで死んでいく。そういう生き方、それはロマンです。

じゃあ自分はどうだろう。「これで死んじゃおう」なんてものを残しているだろうか。で、それは正しいことなのだろうか。やっぱり死んじゃうのは、いかんのではないか。でもかっこいい。そんな葛藤が胸のうちにおこるほど、ひとつのことをやって死んじゃう人の生き方は、インパクトがあるわけです。

「竜二」という映画、みなさんは知っていますか。川島透という、映画監督を育てた映画。かの松田優作が死を看取った役者が作った映画。はったりだけの田舎者と、映画界の半端者が集まって、意地を通して作り上げた映画。金子正次という役者は、33歳で映画一本を世に送り出して、この世を去っていきました。

「待ってろよ。今にな…待ってろよ。今に男になって、てめえら、おれが通りに立つだけで、喜んで寄って来る男になるからよ。それまでお前ら…待ってろよ。」金子の口癖だったという、この言葉、こんな枯れ切った僕でも、何度か心の底に抱いていた言葉です。若いということは、それだけで未完成で、だからぎらぎらしていて、そのまぶしさは本当にうざったくて、でもどこにも持って行きようがなくて、いつかは「卒業」しなくてはいけない。でも、その若さのもつ勢いが、ある時同じ方向に、すさまじいスピードで溢れ出し、ひとつのかたちをつくっていく。これが、この世の中で本当におもしろいところで、それが愚かしい行為であるにせよ、そうでないにしろ、人を感動させるのだと思います。
なんか抽象的な物言いになってきました。この本は、金子正次という、ある意味で無名、でも多くの人間にインパクトを与えた役者のドキュメンタリーです。というわけで、一度この映画を見ようと、レンタルビデオ屋さんを漁ったのですが、なかったです。どっかにありませんかねえ。

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