監査業務担当の清岡です。
「会社が作成する決算書は正しいものである」と思いますよね。本来は正しいルールにもとづいて作成されていますが、中にはうっかり、そして意図的におこなっている場合も含めて次のようなことがあります。
 
① 不良債権(売掛金・受取手)

会社の債権(売掛金等)の中には、先方の事情により通常の入金サイトでは回収されずに長期的に回収が滞っている債権も含まれていることがあります。このような不良債権を流動資産に含めていると、資金繰りの算段の際に見誤りをおこす事になります。(キャッシュフローが悪化する)また、流動比率等の指標の算定時に誤った判断をおこします。

② 不良在庫

商品の中には、売れ残った商品や陳腐した商品が含まれていることもあります。極端な場合は、何年も動かず倉庫に残り今後も販売が出来ないような商品が含まれている場合もあります。このような商品を在庫として貸借対照表の『たな卸資産』に含めてしまうと、こちらも不良債権と同じように流動資産に含まれてしまうため、いつかは現金化されると誤った判断の元になってしまいます。

③ 含み損

日本の会計制度においては原則的に取得原価主義(資産を取得時の原価で評価するという会計)をとっています。そのため、取得後に価値が下がっている場合には、実際に売却(換金)の際に価値が半減しているケースもあります。

 
上記のような内容を正しく判断するためにも一定のルールを定めることも必要です。
 

① 不良債権対策
・可能な限り回収額に近い金額を把握する。
・回収が長期化する場合には、固定資産に表記する。
・適切な手順にもとづいて貸倒引当金や貸倒損失を計上する。

② 不良在庫対策
・売却可能な価格で計上する。
・販売不能な商品の廃棄分
棚卸資産の廃棄に関する一定のルールを決めておく。

③ 含み損対策
・含み損については、低価法(下落分を損失として処理)で処理をする。

 
中小企業の多くは、税務申告の必要性から、決算書を会計基準よりも税法を優先して会計処理をおこなう場合が多いです。よって、上記のような適切な決算書の作成にはなっていない場合も多く見受けられます。そのような中でも出来ることから対処することで適切な決算書に近づくことが可能となりあす。

まずは、出来ることとして内容と実態に応じた正しい金額の把握からはじめてみましょう。

  
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