31010330.jpgこの作者のマイノリティ信仰(オカマとかホモとか、そういう人のほうが人生の本質を知っている、みたいな)が、どうも嫌いなのです。
「パーク・ライフ」で芥川賞をとった人です。というわけで、たいしておもしろい作家ではなかったのですが、この本、3話ある短編のうち、2話目だけが、とてもよかったです。

長崎の町並みと、そこに降り注ぐ太陽の光線がイメージできそうな、秀逸な描写です。1回しか行ったことない、長崎を思い出しながら、読みました。

地元に残った弟と、帰省した兄。
モラトリアムな兄に対して、自立した弟は地元に足をつけて生活しています。問題のある兄を迎え入れる家族。そして地元にも受け入れられていく兄なのですが、やがて弟の精神的なもろさも、ちらほらと見えてきたりして、さて、どうなってしまうのか。

このお話の全体に流れるやさしさは、なんだろう。家族の絆?兄弟愛?
小さな海のある田舎町を舞台にした。兄弟の物語。
・・・そうか、これは中上健次「枯木灘」の世界だ。

変にひねった小説書いてないで、こういうのもっと書きなよ、と思ったのです。大きなお世話か。

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