200805000465.jpg「チーム・バチスタの栄光」で、感心し、
「ナイチンゲールの沈黙」にはちょっとがっかり、
「ジェネラル・ルージュの凱旋」で再び魅了され、
4作目の本作品で、物語の深さに圧倒されました。
こうなると、イマイチかなと思った「ナイチンゲールの沈黙」も、この連作の中で重要な伏線だったのだと、あらためて気づくのでした。

主人公は、今までの田口先生ではなく、大吉くん。医学部の落ちこぼれです。いきなりマージャン勝負とかやってます。そんな彼が、幼馴染の女の子の依頼で、桜宮病院に潜入し、その謎を探っていくわけですが…。
♪桜宮は花盛り 青いすみれに 白百合の花
この歌に隠された秘密とは?
明るい末期患者たち。あっけなさすぎる人の死。フラッシュバックする過去のつらい思い出。大吉くんとすみれの、淡い恋心。白鳥と小百合の決闘。黒幕の院長。知らないうちに他人を傷つけている、人の業――まさに巻貝の螺旋のように物語は展開していきます。

1週間くらいで4作品を続けて読了しましたが、その1週間の、幸せだったこと。めくるめく、物語の世界。なかなかに格調高い文章。キャラクター設定の絶妙さ。そして命の尊厳についてまで思いはめぐり、至福の読書体験となるのでした。
読むなら、一気に読みなさい。

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