sakanouenokumo.jpgNHKドラマ化記念!
久しぶりに読み返してみてます。Google Earth をそばにおいて、遼東半島あたりをぐるぐるしながら読むといいすよ。
以下は、10年くらい前に書いた感想です。

明治の開国から、日露戦争までを書ききったた超大作です。当時の日本人気質のようなものが感じられて、とてもおもしろいです。
日露戦争のために生まれてきたような兄弟、秋山好古、真之。好古は陸軍で、何も無いところから騎兵隊をつくりあげ、ロシアの最強軍団であるコサック騎兵隊に勝利します。真之は海軍で、東郷平八郎の軍師として、史上最強のバルチック艦隊を打ち破ります。酒だけあれば飯を食わずに済む好古、正岡子規との親交を暖めながら、文学からやがて軍事戦術にのめりこんでいく真之。この兄弟の生い立ちと、正岡子規の魂をすり減らして文学を完成させて行く過程を中心に、前半は進んで行きます。坂を登り続け、その上にある雲を追っていくような、日本という国の青春期を書いています。
正岡子規が死んだあたりから、青春小説は風雲急を告げる戦争描写へと姿を変えます。はっきり言って、読み進めるのに体力が必要です。凄惨な二〇三高地での戦闘については、映画化もされてますね。陸戦、海戦、どれもすべて綱渡りで、ぎりぎりのところで勝ちを拾って行く日本軍。加えて、ロシアの独裁政治の腐敗がもたらす戦術の不味さがあって、日本はこの戦争に勝利するということになるのですが、感想としては「まぐれ勝ち」だということです。学校で習った歴史では、日清戦争、日露戦争と、日本は強くていけいけで、第2次世界大戦でやっつけられちゃった、という風な認識だったのですが、とてもそんな単純なものではないのですね。
クライマックスのバルチック艦隊との戦いまでの、圧倒的な量の史実の積み重ね。そこに浮かぶ人物像。歴史という必然をなぞって行く作業が、こんなにおもしろいとは。改めて司馬遼太郎というのはすごい人だったんだなあ、と思いました。

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