「サイゴンのいちばん長い日」近藤紘一

「サイゴンのいちばん長い日」近藤紘一

ベトナム戦争というと、いままでに大して詳しい説明を聞いたこともないし、学校の先生に教わった覚えもありません。
ただ、アメリカの戦争映画でその悲惨さと、不条理さだけをつきつけられただけです。どたばた劇が多い中で印象に残っているのは、高校生のときに見た「グットモーニング・ベトナム」という映画です。
What a wonderful worldという曲が流れる中での戦闘シーンが、非常に考えさせられました。

世界はこんなに美しいのに、どうして殺し合いをするんだろう。

青臭い感性で考えて、その疑問は今になっても解けません。
この本は北ベトナム軍がどんどん南下してきて、いよいよ首都のサイゴンが陥落するという、その瞬間のレポートです。 アメリカから見たベトナムしか知らなかった僕にとって、本当に新鮮な視点を与えてくれたように思います。
この作者の感性でしょうか、生き様でしょうか、どうもとらえようのない優しさが全文に漂っていて、普通のジャーナリズムと違うものになっています。
開高健の寄せた前文がとてもいいので、引用します。

――おかしくもあれば凄烈でもあり、必死であるが悠々ともしているあの国の路上の人びとの姿態が率直、公平、柔軟にスケッチされ、簡潔さのうらにしみじみした優しさがあって、それがなければとらえるすべのないさまざのものが収穫となっている。これは、顔もあれば眼もある本である。

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