監査2部門の中澤です。

「司馬遼太郎記念館」に行って来ました。
近鉄奈良線「河内小阪駅」を降車、徒歩約10分の所にあります。
 
「司馬遼太郎記念館」と大看板のかかった商店街を抜け、道中「えっ、こんな所を通るの?」と、グーグルのナビを頼りに人一人しか通れないような路地を抜けると、目的地に到着しました。
 
自宅に隣接して建ててあるために、近隣は閑静な住宅街で、有名な大作家の記念館なのに、特別感がなく、何かとても「普通」で「自然」でした。
 
入り口から記念館の建物の入り口までの通路が雑木林のようになっていて、その通り道に司馬先生の書斎を窓超しに見られるようにしてあります。未完に終わってしまった当時執筆中の『街道をゆく-濃尾参州記』で参考にした資料が、そのままの状態で保存されています。「ここで大作が執筆されていたんだな」と思うと同時に「私に読書の楽しみを教えてくれて有難う!」という感謝の気持ちがこみ上げてきました。
 
入館するとそこからは、写真撮影が禁止です。安藤忠雄氏が設計されたコンクリート打ちっぱなしの地下1階、地上2階の建物は明かりをいっぱい取り込めるようになっていて、一部吹き貫きになっている場所があります。
 
地下1階から天井までの高さ11メートルの壁に書棚が取り付けられていて、そこには司馬先生の書籍をはじめ資料などの2万冊もの蔵書が展示されていました。圧巻です。ここは、自宅の書棚に収まる約6万冊の蔵書世界を想像してもらう空間として作られたそうです。6万冊という数字にも驚きですが、「普通ここには書棚は置かないでしょう?」と、思われる玄関やら廊下にと書棚があるとの事なので、さながら図書館みたいなご自宅なのだろうと思います。
 
展示ケースには「竜馬がゆく」や「坂の上の雲」の原稿であったり、バンダナ等の所有物が展示されていました。中学生(だったと思うのですが)の頃の文集も残っていて、司馬先生の本名が「福田定一」とはじめて知りました。原稿は書き直された後があり、推敲を重ねられたんだろうなというのがわかります。竜馬の最期も「天は幕末の仕事が終わるとおしげもなくこの若者を天に召し上げた」というくだりがあるのですが、この「おしげもなく」が最初は「おしむように」となっていたそうです。「おしげもなく」の方が、幕末の混乱を収拾させるだけの為にこの世に天が召し使わせた感じがして私はすごく好きです。
 
帰りになにか記念になる物をと購買に寄り、「没後20年司馬遼太郎展」と、「世に棲む日日」を購入しました。「世に棲む日日」は吉田松陰と高杉晋作が話の中心人物として描かれ、これも幕末の話です。全4巻なのですが、まずは1冊読んでみて面白かったら地元で買おうと思っていたのですが、ここで買うと「司馬遼太郎記念館」のカバーをつけてくれる上に全巻をまとめて購入すると題名のついたバッチがもらえるというので全4巻買って帰ってきました。
 

あっ、のぼり風のしおりもおまけについていました。
「面白かったら」と失礼な事を思ってしまったのですが、この本も当然面白く通勤のお供になっています。
 
うまく説明はできないですが、私の好きな空間がそこにはあって、滞在時間より移動時間のほうが長かったけれど、また何度でも訪れたい司馬遼太郎記念館でした。

  
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