監査業務担当の牟田口です。
 
<未分割の申告にデメリット有り>です。

相続が発生すると遺産を相続人で分けることになります。しかし色々な理由でどうしても遺産分割がまとまらないことがあります。その理由もケースバイケースで、私からするとそんなにもめなくてもと思うことでも、当事者からすると絶対に譲れないことなのでしょう。
 
さてそういった場合に、相続税の申告はどうなるのでしょうか?
残念ながら、税務署は申告期限を遺産分割が終わるまで待ってくれることなどありません。相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。未分割であることを理由に申告期限を延ばしてくれはしないのです。とりあえず仮に法定相続分で分割したとして申告し、納税しないといけないのです。その後遺産分割の協議が整い次第、再度申告となるのです。
 
ここで注意点として、未分割で申告書を提出するときに、ペナルティではないですが、使えない制度がいくつか出てきます。そのうち以下の二つは、相続税の税額を大きく左右する制度です。その二つが使えないのが、未分割の申告デメリットです。
 
1.配偶者控除

配偶者控除とは、配偶者の遺産額が1憶6千万円までか、それを超えたとしても法定相続分相当額までは相続税がかからないという制度です。この制度は、財産が分割されていないと計算できないため、未分割の状態では使えません。

 
2.小規模宅地の特例

小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たせば土地の相続税評価額を最大80%減らせる制度です。これも、財産が分割されていないと計算できないため、未分割の状態では使えません。

 
どちらも、相続税の計算をするときには、大きく税金を減らすために有効な制度です。それらを未分割であれば使うことができず、多い目の税金を払わなければいけないことになってしまうのです。
 
ただし、ご安心を。相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておけば、たとえ未分割の状態の申告であっても、申告期限から3年以内に遺産分割協議が成立したときには、上記の税額軽減の制度が使えますので、忘れないように提出してください。
 
ということで、申告が深刻なことにならないよう、身内との日ごろからの親戚付き合いも大切にしてくださいね。

  
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