監査業務担当の金森です。
保険会社が販売する法人向けの保険商品で、「低解約返戻金型逓増定期保険」があります。契約開始から一定期間を経過すると返戻率が大幅にアップするところに特徴がある保険です。
返戻率が大幅にアップする直前に、法人契約から個人契約へ名義変更することにより個人の所得税額を節税することが目的でした。
 
一方、売却した法人の方も、「低額での保険資産売却、売却損を損金額に算入して法人税負担を軽くする。」という仕組みです。法人から個人へ名義変更をした場合、これまでは保険契約の解約返戻金が権利の評価の額として取り扱われることになっていました。
 
解約返戻金が低い時に個人へ名義変更することにより、個人は少ない負担で保険契約を買い取ることが可能です。解約返戻金がピークに達した後に解約する場合は、一時所得の扱いとなり特別控除50万円が使えます。給与や賞与として法人から解約返戻金をもらうよりも、所得税の税負担が軽減されることが大きなポイントでした。
 

  • 契約4年目
    法人から個人へ名義変更
    評価額 800万円(解約返戻金)
    個人から法人へ800万円支払
  • 契約5年目
    保険料 1000万円を個人が支払後解約手続 
    解約返戻金 4750万円(一時所得)

 
上の例での一時所得の計算は下記の通りになります。
 

解約返戻金:
4750万円―1800万円(法人への支払分800万円+5年目の保険料1000万円)=2950万円
課税対象額:
(2950万円=特別控除50万円)× 1/2=1450万円

こうしたしくみの保険は以前より疑問視されていましたが、今年4月に国税庁は見直しをする検討に入りました。

【新しい課税ルール】
名義変更時の評価額:
解約返戻金が資産計上額の70%未満の場合は、資産計上額で評価
解約返戻金が資産計上の70%以上となる場合は、従前通り
 
適用開始:
2021年7月1日(2019年7月8日以降に結託した契約のうち、2021年7月1日以降に名義変更をした場合)
ただし、2019年7月7日以前の契約でも、2019年7月8日以降に転換、保険給付のある特約の中途付加などの手続きを行った場合は、新契約とみなされ新しい課税ルールが適用されます。

 
新ルールが適用されると、法人は資産計上額で保険契約を売却するため損失は発生しません。個人側は、高い金額で保険契約を買い取ることになるためこれまでの手法は意味をなさなくなります。
 
こうした税制改正を踏まえながら、検討していくことが大切ですね。

  
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