「ソープ」でなくて、「スープ」です。
なかなか読み応えのある、ハッカー小説です。楽しんで読めますよ。

国際的に活躍するハッカーに、ある日訪ねてきた、経済産業省の役人と名乗る女。
その依頼を受け、「EGG」と名乗るクラッカー集団のクラッキングを暴いていく主人公。
やがて主人公が昔つくったゲームと、その仲間たちに事件の核心が移って行きます。

ひきこもりのパソコンおたくが事件に手を染め、やがて世界中を巻き込んだ、ルーターの擾乱、ネットワークの崩壊へと、話は進んでいきます。
リアルとヴァーチャルをつなぐ世界として、ネットゲームを選んでいるあたりが、非常に自然で、目の付け所がいいなあと思いました。
ネットで交わされる会話や、その背後にいる人間など、無理なく書かれています。
・・・でも、基本的にパソコンの前でかちゃかちゃばっかりなので、描写的に地味(しょうがないか)。

例えば、インターネットカフェで、若者がする会話。

「おい、あれWinじゃないぞ」
「UNIXのターミナルじゃないのか」

言わねえよ、そんなこと。

ハッカーとクラッカーの違いについて、かなりくどく説明(弁解)してます。
曰く、ハッカー=善人で正義の味方、クラッカー=悪人で破壊者
これはずうーっと前から一部の人たちが言ってたことなのですが、まあ、普通の人たちは、ハッカーが悪い人で、クラッカーなんで聞いたこともないてな認識ですね。
ぶっちゃけて言えば、どちらもすごい技術力を持って、パソコンやネットワークを自在に操れるという人たち。

でも、大きな力を持っているということは、つまりいいことにも悪いことにも、どちらにも使えるということです。
「ハッカー」という言葉が、悪者として世の中に認識されてしまったのは残念なことなのですが、それを今さら、くどくど言っても仕方ないです。

一昔前に「悪魔くん」てありましたが、あれと同じですね。わが子に「悪魔」とつけるとは、けしからん。でも、もともと「悪」てのは強い生命力を意味して、「魔」もなんかそんな感じで(ちょっと語源を調べないといけませんが)、子供に強く育って欲しいということで、「悪太郎」とか平気でつけてた時代もあったんです。
というわけで、「ハッキング」――いや、やっぱり悪そうな語感だなあ。

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