オペレーション部門の橋本です。

現在、定年を定める場合には、60歳を下回ることは出来ません。

これは、「高年齢者雇用安定法」に基づく「高年齢者雇用制度」によるものです。

また、65歳未満の定年を定めている事業主は、65歳までの雇用を確保するため、次のいずれかの措置

を導入することが義務付けられています。(平成16年改正)


・65歳までの定年の引き上げ

・65歳までの継続雇用制度の導入

・定年の廃止

 

 

多くは、人件費の負担を軽くするために「継続雇用制度の導入」を選択しているようです。

この措置は、老齢厚生年金の支給開始年齢が60歳から65歳まで段階的(平成25年度から平成37年

度にかけて)に引上げられることによる「空白の期間」に対応するものです。

しかし、60歳以降の賃金は30%~70%程度に低下するケースが多くなっています。

この低下した賃金の一部を補うのが雇用保険の「高年齢雇用継続給付」です。一定の要件を満たす方に支給

される給付で、65歳までの雇用継続を援助、促進を目的としているものです。

 

「高年齢雇用継続給付」には

1.高年齢雇用継続基本給付金

2.高年齢再就職給付金

の2つがありますが、ここでは1.高年齢雇用継続基本給付金について説明します。

 

【 要 件 】

・雇用保険の被保険者期間が5年以上あること

・60歳以上65歳未満の一般被保険者であること

 ※基本手当等を受給したことがある場合は、基本手当の受給終了から5年以上経過していること

・60歳以降の賃金が、60歳時点の75%未満であること

・育児休業給付や介護休業給付の支給対象となっていないこと

 
【支給期間】

・被保険者が60歳に達した月から65歳に達する月まで

※60歳時点で、雇用保険の加入期間が5年に満たない場合は、
 5年に至った月から65歳に達する月まで

 
【提出書類】

・高年齢雇用継続給付支給申請書
・賃金台帳
・出勤簿
・払渡希望金融機関指定届(初回のみ)
・雇用保険被保険者六十歳到達時賃金証明書(初回のみ)※受給資格等を確認するため
・運転免許証か住民票の写し(コピー可)(初回のみ)※年齢確認のため

 
【提出時期】

・初回は、最初に支給を受けようとする支給対象月の初日から起算して4か月以内

・2回目以降は、前回の支給決定通知書に記載された支給申請期間(2か月に一度)

 
【 支給額 】(平成28年8月1日現在)

低下率により次のように算定されます。

低下率=支給対象月の賃金÷60歳到達時の賃金月額×100

・低下率が61%以下…………………「支給対象月の賃金×15%」

・低下率が61%超~75%未満…… 「支給対象月の賃金×一定の割合(15%~0%)」

・低下率が75%以上………………… 不支給

 ※支給限度額は339,560円で、最低限度額は1,832円です。

 

ここで一つ大きな注意点があります。

在職老齢年金との併給調整により、年金が減ることがあります。

在職老齢年金を受給されている方は高年齢雇用継続給付を受給すると、

併給調整が行われ、年金の一部が減額されることがあります。

《参考》在職老齢年金の支給停止の仕組み
 
賃金が60歳時点より大幅にダウンするため支給される高年齢雇用継続給付なのに、在職老齢年金が減額

されるなんて「なんで~」と思ってしまいますよね。

在職老齢年金のみを受給されている方も賃金によっては支給停止があります。

ただ、停止になる割合は、高年齢雇用継続給付の方が少し緩やかになっています。

 

雇用保険も年金も、皆が納めた税金や保険料を財源としていて、この両方を何の調整もしないで給付する

と重複してしまうことになります。ある程度は調整しないと、働いている間の年金の考え方に合わないと

いうことですね。65歳までは賃金と年金や給付金、65歳以降は年金を中心に生活設計を立てられるよ

う考えられています。
 
※減額される金額など詳しくは年金事務所等で確認してくださいね。

  
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