オペレーション部門の橋本です。

「分割年金」あまり馴染みのない言葉かもしれません。

これは、離婚した夫婦がそれぞれ支払った厚生年金保険料を分割する制度です。

 

平成16年に法改正があり、離婚後に夫の年金の一部を分割できることになりました。

専業主婦が離婚した場合の年金水準の低さが問題になっていたのですが、夫が外で働けるのは

妻のサポートがあってこそということで、色々、改正されたようです。

 

ここで注意する点は、分割する対象期間は、夫婦であった期間です。

夫が厚生年金に加入していた全期間ではありません。

ここのところを勘違いされる方が多いようですよ。

 

また、年金は「基礎年金部分」と「比例報酬部分」の2階建てですが、対象となるのは「報酬比例部分」のみ

です。「基礎年金部分」は、あくまでもその人個人のものなので、計算には含みません。

 

図で見てみましょう。

年金分割-11
 

図からも分るように、妻も厚生年金に加入いていた場合は、足して2で割ります。

 

この制度はあくまで、「比例報酬部分」に対してですので、自営業の方など、厚生年金や共済年金に

全く加入していない場合は、分割は難しくなります。

 

また、分割年金は2種類あります。

(1)合意分割制度

(2)3号分割制度

 

何が違うかというと、分割の決め方です。

 
(1)合意分割制度

夫婦間の合意または裁判所の決定により決まります。

分割の期間は先の説明通りですが、割合は夫婦間または裁判所の決定により確定し、

最大で半分です。

 

(2)3号分割制度

割合は例外なく2分の1です。

(1)のように夫婦間の合意や裁判所の決定は不要です。

分割の期間は(1)と同様ですが、対象は、平成20年4月以降に相手が支払った厚生年金保険料

です。平成20年4月にスタートした分割制度で、第3号被保険者であるサラリーマンの専業主婦

等が利用できる制度だから、この名前がついています。

 

例えば平成10年に結婚し、27年に離婚した場合、平成20年3月までは(1)の合意分割制度

平成20年4月以降は(2)の3号分割制度の利用ということになります。

 
年金分割-21
 
簡単な表で見てみましょう。

 

制  度 利用時期 分割対象期間 割  合
合意分割 平成20年3月まで 夫婦であった期間

夫婦間の同意もしくは

裁判所が決定(最大50%)

3号分割 平成20年4月以降 夫婦であった期間 例外なく2分の1

 

 

なお、婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれる場合、合意分割の請求をするだけで、

合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされます。

 

次のような注意点もあります。

・請求期限は、原則として離婚後2年

・請求を受ける側が障害年金の受給者である場合には分割不可

・(2)は事実婚の場合でも利用できるが、第3号被保険者期間が終了していることと

事実婚解消を証明することが必要

 

こういう制度があるということは、知ってて損はないですね。

頭の片隅にでも入れておくといいのではないでしょうか。

  
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