終戦からこの小説は始まります。この小説との出会いは、時間が少しあり本屋へフラッと入った時のこと。何時もならまっしぐらにビジネス書や小説以外のジャンルに行き、小説のコーナーには殆ど立ち寄らないのですが、チラっと”百田尚樹”という著者名が目に入り、フラフラ引き寄せられてちょっと立読みです。題名は”海賊とよばれた男”。海賊時代の小説?と思いきや、戦前、戦中、戦後の話で、海賊??まあ久しぶりに小説も読んでみようか・・・、と購入しました。

内容は、福岡の商人の息子”国岡鐡造”が丁稚仕事から始め、一から油を扱う事業を立ち上げ日本の石油産業をも立ち上げた、という物語です。鐵造の父である徳三郎から「一生懸命に働くこと」「質素であること」「人のために尽くすこと」の三つを厳しく教えられ、自分のヴィジョンを貫徹していく意思決定には非常に感銘を受けます。扱う商材も石油で色々な利権に塗れた事業であり、しかも原産国が当時はアメリカが主体で、アメリカのプレッシャーを直に受ける事業です。しかし、鐵造は国際メジャーにものみ込まれず、日本で唯一民族資本を貫徹するという素晴らしさ、ここに面白さが満載です。

■出会い
この小説の中で、鐵造は非常にいいタイミングで、いい出会いが多くあります。一番感動した出会いは・・・。鐵造が事業を立ち上げますが、初期の頃はなかなかうまくいきません。しかも、国岡商店はその産業の中では殆ど発言力の無い規模です。当然上位の会社が色々な利権を握っているところで商売を進めるのですが、日に日に損失が大きくなっていきます。その時に日田重太郎との出会いがあります。お金に困っている鐵造に対して、自分の家を売りそのお金をその事業のお金に使えと提供します。その時のやり取りの会話は、何度読んでも涙が出てきてしまいます。日田重太郎の眼力、さすがです。

■先見性
油を扱う事業を始め、学生時代に石油の勉強をしていたという経緯もあるのですが、まだその時代には自動車はガソリンで走っておらず、また日本で自動車は数台しかないという時代に、石油をいかに安定的に販売できるかという事を前提にした戦略。色々な会議で次の一手を決定していくのですが、ここは!という時の意思決定は絶対に譲りません。しかもその意思決定が有効に生きてきます。

■士魂
鐵造は勿論のこと、国岡商店に集まってきた人材は何が違うのか?なぜ石油という国際メジャーが中心の産業の荒波を受けながら、日本独自の資本、人材で立ち上げてこれたのか?終戦後、壊滅的になってしまった会社を立て直していくのですが、国を思い、人を思い、正義を貫く姿勢。やはりアメリカの合理主義ではなく、日本人が本来持っている”士魂”が力を発揮し、その士をひたすら支える妻の存在のように思います。

この小説を読んでいる間は、物語の面白さについつい引き込まれ、それぞれのエピソードに感動しながら読み終えたのですが、ふと内容を振り返ってみると、現代のビジネスで一番かけている事に対する指摘が盛り込まれているように思いました。経営の苦しさから始まる近視眼的なアプローチ、ヴィジョンの欠落、アメリカ的合理性の追求、金融機関との対応、先見性の不足(勉強不足)等々、色々な経営課題が盛り込まれているような小説です。本屋にもネットにも多くのビジネス書が氾濫しているのですが、よく考えるとテクニック指南書ばかりで、そのビジネス書を読んでただ安心するだけ。しかし現実はうまくいきません。”テクニックでは喰えない”

突き詰めて考えると、やはり、その事業に対する想いの強さ、そして社会性の大きさ。その強さ、大きさによって必要な人、物、金、情報が集まって来るんでしょうね。この小説は”出光興産”の創始者、出光佐三さんをモデルにしたドキュメント小説です。この本3回目はビジネス書として読んでみます。

百田直樹さんの著書で、”影法師”、”永遠の0”も結構面白いですよ。
”永遠の0”に出てくる宮部さんが少しだけクロスオーバーします^_^

やこやこ

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