2016-09-02監査二部門の梅本です。

前回のコラムでは、損金4区分(原価・費用・損失・別段の規定)のうち

原価について解説していきました。

今回は、「損失」についてみていきましょう。

 

まず損失とは何でしょうか?

損失は、売上とも対応せず、販売費・管理費でもない、独立して発生する

ものを指します。そのため、売上の計上時期やその他の基準にとらわれる

ことなく、発生した時点で損金として計上できるものがほとんどです。

 

少し極端な例ですが、「横領・盗難による損失」もその一つです。

盗難による損失は、盗難にあい被害届を出した時点で、損金として計上できるでしょう。

考え方もシンプルなため、理解もしやすいのではないでしょうか。

 

つぎに、もし会社の資産が「横領」された場合、どういった税務処理が必要かを考えていきましょう。

まず会社は横領による損失の額を計算します。

この損失については、その損害の発生した時点で損金の額に算入されます。

しかし、「横領」の場合はそれだけでは終わりません。

 

「横領」は、相手が発覚しているため、横領した相手からの弁済金・賠償金をうけることになります。

その場合、その賠償金の額を収益に計上する必要があります。賠償金の請求は一般的に長期にわたる

ため、支払を受けた日において収益計上することも認められています。

 

しかし、「横領」損失の賠償金で、かつ自社の役員・社員によるものは、損害

賠償の支払いを受けることが確定(権利確定)した事業年度において益金の額

に計上する必要があります。

 

例えば役員に100万円の現金を着服された場合は、「損失を100万計上」し、

「収益として同額の賠償金収入を計上」する必要があります。

 

この賠償金は、最終的には、役員から分割等で支払いを受けることになるでしょう。

もし回収不能になった場合には、その時点で貸倒れ又は給与として損金計上するのが妥当かと思います。

 

会社にとっては現金を着服され、さらに損金計上の時期が遅れてしまうため、何一つメリットがありま

せん。そういった事態にならないような仕組みを作ることによって、不正を事前に防止することが

双方にとって最善かと思います。

 

※横領による損失の処理は、個々のケースで様々な判例があり、その状況により上記と異なる処理をする

 こともあります。記載の内容はその一例としてお考え下さい。

  
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