税務当局職員「社長さん、この領収書、社長さんの娘さんのお誕生日のご家族でのお食事ですよね?」

社長・会計事務所担当者「???」

税務当局職員「社長さんのfacebookを拝見しましたところ、そのようなことではないかと思うのですが・・・!」

 

みなさまこんにちは、社員税理士の光島です。
物騒なシチュエーションから入ってしまいました。
最近の税務調査のワンシーンでありそうな情景を創作してみました。

 

税務調査というのは、納税義務者が申告する申告書が、適正に処理されているかを確認するための税務当局の業務の一つです。
我々税理士は、その調査の過程において納税者の側に立って(法律的には中立でないといけませんが)、当局の行き過ぎた(笑)調査行動に対してチェックするとともに、その申告が、いかに適正に処理されているかを主張します。

では、何をもって、適正に処理されているとするのでしょうか?
 

ずばり、《 情報 》です

 
書類の形式だけではありません。
税務調査の際の情報は、以下の書類などから取得されます。

1.申告決算書と総勘定元帳などの納税義務者が自ら作成した帳簿類(からにじみ出る情報)
2.請求書や領収書などの経済的取引の相手側が作成した書類(からにじみ出る情報)
3.非公開情報
4.公開情報

 
上記の書類(からにじみ出る情報)やその他情報をもとに、納税義務書の作成した申告書から導き出された税額が適正に処理されているかを確認するのです。

 

「1」は、会計事務所が関与しているケースでは、納税者の方が作成した帳簿等にアドバイスを必ず入れているのであまり心配はありません。税務調査の時点では、どちらかというと、もう何もすることがない状態になっています(そのはずです)。

 

「2」は、取引の相手方が作成するものなので、きちんと整理して保管することがとても大事です。いつでもすぐに取り出せる状態にしておきましょう。ただし、その書類だけではどのような内容の経費なのかわからないようなものについては、すこし内容を補足することも重要です。この場合には、その領収書等にメモでいいので、顛末を書いておくことが大事です。メモは、税務調査においては、雄弁に語りかけてくれるのです。

 

「3」の非公開情報とは、社長さん個人の預金取引など、公開されているものではありませんが、質問検査権の範囲内で当局が金融機関等から取得できる情報です。
個人事業主の方だけでなく、法人であっても、社長さんの個人の通帳は結構な確率で調べているようです。個人の所得として所得税の申告をしなければならないものについては、忘れないようにしてください。忘れて申告を怠ると、不足分を追徴されるだけでなく延滞税や加算税の対象にもなりかねません。
 
非公開情報には他に、税務当局が独自に集めた情報もあります。
税務調査や資料せん、支払調書の回収によって、支払者側からの取引データをデータベースに蓄積して調査用の情報として活用しているようです。受け取る側はできるだけ隠そうとしますが、支払う側は、経費になるために正直に情報を提供するので、支払者側の情報を蓄積するのだと思います。
 
法人の場合は少ないですが、個人の所得税の事業以外の収入の申告漏れは、この非公開情報をもとに発見されるケースがほとんどですので、くれぐれも忘れないようにしてください。

 

「4」は、SNS等の個人が積極的に発信する情報です。
SNSを日記代わりにしている人にとっては、その人の情報がすべて公開されている状態になっている方も少なくありません。冒頭の、悪夢のようなシチュエーションも、税務当局のSNS等の情報収集によってなされた結果です。
 
おそらく、このケースの社長さんは、その翌日に取引先との会食の領収書を、今回問題点とされている領収書と間違えて経理に提出してしまい、そのまま申告してしまったものかと思われます(?)が、個人的な支出を経費にしてしまったという事実は変わらないので、後日修正申告を受け入れなければならないことになるでしょう。
 
最近の税務当局職員は、SNSをめちゃくちゃ見ているようです。
多分、会社のWebページやブログよりも、社長さんや役員さんのSNSを見ていると思います。
 
「3」の非公開情報は、情報を取得する場合に非常にコストがかかりますが、「4」の情報は、ほとんどの場合が、無料で取得でき、さらに検索等で効率よく取得できるのです。
ここまでくれば、なにが言いたいのかもうおわかりですよね!
 
個人的な情報提供にはくれぐれもご注意を!! ではまた!!!

  
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