監査二部門の梅本です。

前回は減価償却の基礎、「償却資産」「非償却資産」の分類について書きましたが、その「非償却資産」の内、美術品等の取り扱いが平成27年から変更されています。

随分前の改正ですが、意外と知られていないので、少し掘り下げて解説していきます。

まず、美術品等について、何故減価償却しないのか、それは「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」ではないからです。
 
裏を返せば

・会館ロビーや多数の者の出入りする場所に展示されているもの
・設置状況から、移設等が難しいもの
・使用状況から、美術品として市場価値が著しく低いもの

に関しては、改正以前から、減価償却する事が可能でした。

ちなみに、耐用年数は、彫刻15年、絵画・陶磁器8年です。
 
では、ここから改正後の話です。
まず、次の2つは減価償却できません。

1.金額に関わらず、古美術品のように希少性・歴史的価値の高く、代替性のないもの
2.1以外で、1点100万円以上であるもの

つまりは、希少性が極めて低く、100万円未満であれば減価償却できるようになったのです。今後取得する、美術品等については、このルールに則り減価償却をして下さい。
 
ただし、以前取得し、購入時の価格で帳簿に残っているような美術品等については注意が必要です。改正以前に取得したものについて、例えばH30年の決算期でいきなり減価償却を始めてはいけません。あくまで上記は、今後取得するものについての判定基準です。
 
ではもし古い美術品を所持している場合に、少しでも経費にしたいと考えた場合はどうすればよいのでしょうか?

減価償却とは少し話がそれますが、確実に経費計上可能なのは、廃棄処分です。
簿価相当額と廃棄処分にかかった金額を、経費として計上できます。

また、売却の場合は、売却価格が簿価よりも低い金額であれば、その差額が経費として計上されます。
 
最後に少し視点を変えてみましょう。
同じ美術品等でも、骨董商が所持している絵画はどのように扱うのでしょうか?

まず、骨董商は所持している絵画は、減価償却資産ではなく「棚卸資産」、つまり商品ですね。ですから、当然減価償却する必要もありません。
 
では、商品である絵画の時価が購入時の半額以下に下がっている時はどうすればよいのでしょうか?
商品の評価損は、基本的には認められていません。
ただし、例外的に評価を下げる方法も存在します。

その辺りの詳細は、また次回以降に改めて紹介していきます。

  
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