監査二部門の梅本です。
今回のコラムは、前回の電話加入権に引き続き、B/Sでよく見る資産「ゴルフ会員権」についてです。

 

「ゴルフ会員権」とは、その名のとおり、ゴルフ倶楽部の会員になった「権利」のことを言います。
ゴルフをされない方にはピンとこないかもしれませんが、会員になると、プレー代が安くなるだけでなく、様々な特典があるのです。そして、何より会員というステータスです。

 

では、法人でゴルフ会員権を取得すために支払った費用は、会計上・税務上どのように処理されるのでしょうか。
ゴルフ会員権の形態には、

(1) 預託金会員制

(2) 株主会員制

と主に2通りがありますが、今回は最も多く流通している(1)の「預託金会員制ゴルフ会員権」を前提にお話ししています。

◆購入時の取り扱い

(1)入会金

全額「ゴルフ会員権」として資産に計上し、減価償却は出来ません。

(2)名義書換料、仲介手数料

(1) の入会金と同じく、全額「ゴルフ会員権」として資産に計上します。

(3)プレー代、年間ロッカー代、年会費

私的な利用を除き、基本的には交際費として、経費計上します。

◆売却時の取り扱い

売却した場合は、「売却額-購入額=売却益(損)」を売却した事業年度に計上します。

◆売却せずに持ち続け、時価が大きく下がっている場合の取り扱い

前回の電話加入権のケースと同じように、まず考えられるのが、時価が大きく下がっているため「評価損」を計上することでしょうか。

では、この「評価損」は税務上認められるのでしょうか?

 

今回も答えはNO!です。
税務上は、資産の評価損を一定の場合を除き認めておらず、預託金会員制のゴルフ会員権の場合、入会金は単なる保証金と扱いわれ、税務上評価損の計上はできません。

 

しかし、評価損ではなく、貸倒損失・貸倒引当金の対象とすることは可能です。
例えば、ゴルフ倶楽部を運営する会社の倒産、ゴルフ倶楽部の退会手続きなどにより、預託金が単なる預け金ではなく、預託金返還請求権という債権になったと考えられる場合、その債権の回収不能部分について、貸倒損失等として損金計上が可能になります。
ただ、これは珍しい例なため、なかなか実際に目にすることは少ないのですが。

 

以上、長々と税務上のお話をしてきましたが、そもそもゴルフ会員権を法人で所有しなければならない必要性があるのでしょうか?

 

会社の所有資産は、「会社の収益に貢献に出来るもの」であるべきだと思います。
新たな投資は慎重に検討するべきでしょうね。

  
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