監査二部門の梅本です。
 

「減価償却で利益調整」

 
会社の決算に際して、経営者の方は一度は耳にした事があるフレーズかと思います。
これは具体的にどういうことなのでしょうか?
 
簡単に言うと、減価償却は「してもしなくても良い」
と言う事なのですが、もう少し掘り下げてみましょう。
 

減価償却は、「適正な期間損益計算」をするために、費用を長期にわたり配分しています。
これは「会計上」基本的な考え方です。


「税法上」は、会計の減価償却という考え方をそのままに、年間で償却費として経費に出来る限度額を定めています。

その「限度額以下」であれば、償却額はいくらでも良いのです。

経営者からすると、「少しでも短い期間で早く経費にした方が、税金が安くなって有利」ですので、通常は限度額まで目一杯を経費に計上します。
 
ただし、もし会社が赤字だったらどうでしょう?

経費を増やせば、赤字はどんどん膨らみます。
償却額は少ない方が、当期純利益が増えて、決算書の見映えが良くなってしまうのです。
 
そこで、「減価償却で利益調整」という話になるのです。

例えば、

○ ちょっと黒字の決算書になるように、減価償却額で調整する。
○ 赤字だから、全く減価償却しない。

などが可能です。

これらは税法上、特に問題ありません。
しかし、会計上は、広義での「粉飾」になるでしょう。
 
もし資産を購入後、数年もの間、減価償却をしなかったら。
貸借対照表には、中古で価値が下がった資産が、購入時の価格で載ってしまいます。
 
これでは、会社の健全な財政状態を表すのには、不適切です。
目先の決算書に見映えにこだわらず、決算書には正確な収益力や財政状態を表示すべきです。
たしかに違法ではありませんが、「減価償却で利益調整」は、最終手段くらいの認識にしておくのが、良いかと思います。

  
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