監査二部門の梅本です。
今回のテーマは、前回からの流れで「修繕費」についての取り扱いです。具体的には「LED照明の取替費用は、修繕費か資本的支出か」についてです。数年前からよく聞くようになりましたね。

社内・工場・賃貸物件等の蛍光灯をLEDに取り替えた場合、全額修繕費として処理してよいのでしょうか。最初に結論から申し上げますと、一般的には修繕費に該当すると思われます。
 
国税庁の質疑応答事例には、
 

蛍光灯をLEDに取り替えることで、節電効果や使用可能期間などが向上している事実をもって、固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増しているとして資本的支出に該当するのではないかとも考えられます。
 
しかし蛍光灯は、照明設備(建物附属設備)がその効用を発揮するための一つの部品であり、かつ、その部品の性能が高まったことをもって、建物附属設備として価値等が高まったとまではいえないと考えられますので、修繕費として処理することが相当です。

 
との記載があります。それでは、

LEDへの取り替え費用が修繕費ではなく資本的支出となるケースはあるのでしょうか?

例えば、建物附属設備の大規模な配電工事が行われる場合が考えられます。このような場合は、電気設備に該当し建物付属設備として処理を要する可能性があります。

LEDへの取替費用が非常に高額の場合はどうでしょうか?

全社的に節電対策で蛍光灯からLEDに取り替えたにより、取替費用が総額で例えば1,000万円を超えてしまう場合、資本的支出に該当するのでしょうか。

 
これに関しては、前回のブログにてほとんど正解が書いてあります。資本的支出と修繕費の判定は、修繕費か資本的支出かの区分が明らかでない部分があるかどうかを実質で判断し、その判定が明らかでない場合に金額判定することとされています。つまりLEDへの取替費用の判定を実質で判断する場合、金額の多寡は問題になりません。
 
LEDへの取替作業が単純な作業で済むような場合、例え金額が多くても建物附属設備の価値を高めているとまではいえないので、修繕費と取り扱われることになると思われます。
 
また、初めてLEDを取り付ける場合に、LEDを安定して使う目的の安定器の取り付け作業が必要になる場合があります。この安定期の取り付け作業も、この作業自体のみをもって使用価値を高めることととはいえないことから、資本的支出に該当することにはならないと思われます。
 
以上、具体例で修繕費を掘り下げてみました。今回のように比較的わかりやすく、「修繕費」という判断が国税庁から出ている場合はよいのですが、判断に悩むケースもたくさんあります。少しでも迷った時は税理士に相談です。もちろん修繕工事等が終わってからではなく、事前にご相談下さいね。


  
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