監査3部門の西内です。
皆さんは、過去にフランスで公布された商事王令というのをご存知でしょうか?1673年にフランス王ルイ14世が交付した世界最古の商法典です。商法典というのは、日本の六法のうちの商法のようなもので、いわば世界最古の商売や商いのルールを定めたものです。
 
さて、この商事王令ですが、商人が破産した時に帳簿の提出が求められています。この、帳簿提出できなかった場合どうなると思いますか? 10秒考えてみて下さい。



考えましたか?考えましたね。では正解の発表です。
 
破産時に帳簿を提出できなかった商人は死刑です。聞き間違いじゃありませんよ。もう一度言います。破産時に帳簿を提出できなかった商人は死刑。当時のフランスは、大不況。企業倒産や夜逃げ、あげくの果てに詐欺破産のようなものまで現れる始末。太陽王ルイ14世は帳簿により詐欺破産や財産隠匿を防ごうとしたわけです。
 
破産時に提出を求められた帳簿ですが、正規の帳簿の提出が求められました。正規の帳簿というのは複式簿記による帳簿のことです。複式簿記というのは、読書の皆さんには馴染みがないかもしれませんが、要は我々が決算の時に提出している、貸借対照表と損益計算書による帳簿のこと。この、複式簿記による帳簿でないと財産の実態は掴めません。
 
複式簿記は1494年にイタリアの数学者である、ルカ・パチョーリの数学書の中で紹介されました。基本的な原理はその誕生から現代まで一切変わっていないそうです。ドイツを代表するゲーテはその著書の中で「複式簿記は人智の産んだ最も偉大な発明の1つである」との言葉を残しています。
 
複式簿記が日本に持ち込まれたのは、明治になってから、福沢諭吉が帳合之法という書物にて紹介しました。福沢諭吉は簿記講習所という日本初の簿記学校も開設しています。福沢諭吉が複式簿記を日本に広めなければ、渋沢栄一も1万円札の肖像になれなかったかもしれません。福沢諭吉なくして渋沢栄一無しと言っても過言ではないでしょう。

  
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