監査一部門の牟田口です。

第5回は「相続時精算課税制度」をご紹介します。

相続時精算課税とは、高齢者所有の「眠っている資産」を活用しよう、という狙いで作られました。もっともお金がかかる次の世代にスムーズに渡すことで、財産の贈与を受けた人がお金を使い、お金が循環し、最終的に景気がよくなることを期待しています。

相続時精算課税を受けると、2,500万円までの贈与であれば贈与税はかかりません。その後、贈与者が亡くなったときには、相続財産にその贈与を受けた財産を加えて相続税を計算することになります。遺産が相続税の基礎控除以下の人には、大変良い制度です。

 

適用対象者

65歳以上の親から、20歳以上の子への贈与であること

適用対象財産

贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません

 

メリット

・ 2,500万円まで贈与税がかからない
→ これだけの財産を無税で一度に移すのはなかなかできません。

・ 贈与を受けた財産から利益を受ける
→ アパートを贈与すれば、収入の移転も可能となります。

・ 財産価値の上昇分を見込める
→ 今後、不動産の評価が上がれば、将来の相続時に現在の価値で評価できます。

 

デメリット

・ この制度を選択した場合、取り消すことはできない

・ 贈与税の基礎控除(年間110万円)が使えなくなる
→ 毎年基礎控除内の贈与を計画している方は、制度選択後は できなくなります。

・ 移転コストがかかる(不動産の贈与を受けると登録免許税や不動産取得税がかかる)
→ 不動産を動かせば 必ずどんなコストがかかるか、しっかり調べる必要があります。

・ 将来、相続税の税制改正があり、これまで相続税がかからなかった人にも
  相続税がかかる可能性がある
→ 平成27年から相続税の基礎控除が下がります。

 

税額の計算

・  贈与を受けた年の翌年の贈与税の申告期間内に、
  相続時精算課税選択届出書届出をつけて贈与税の申告

・  課税価格は贈与者ごとに計算

・ 特別控除 2,500万円。これを超えると税率20%がかかる
   ※  一度、相続時精算課税選択届出書を提出すると、
     撤回は出来ません。

・ 相続時には、贈与財産を相続財産に加えて相続税の計算をします
  その際、相続税から既に払った贈与税を控除します
  さらに、控除しきれなかった贈与税があれば、その金額は還付されます

 

この制度、大きく財産を移転することが、もっとも大きなメリットで、これだけの財産を無税で移転させることは、他にはできません。と、同時にいろいろな「くせ」も持っているのがこの制度です。

使い方によって、またその後の税制によっては、「そんなはずでは・・・」となることもあるかもしれません。そう「美しいものには棘がある」ですね。

詳しくは当事務所までご相談ください。

  
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