248 最近、企業の再生という事で事業計画というより、再生計画を策定してほしいという依頼が多くあります。その依頼を受け、再生計画書なるものを策定し実行していきます。その基本的な内容は、現状の利益構造をどのように改善し必要な利益を出していくのか?もう一つは、その利益が出るまで会社を維持させていくのかという財務体質の改善です。今回はその企業再生の中で利益改善についてではなく、財務構造に関る銀行借り入れの返済について条件緩和を依頼したときの話です。

売上が大幅に下がってしまい、どうしても現状の利益では固定費が賄えず、当たり前ですが銀行の借り入れ返済ができません。そのため今までは銀行に更なる融資を申し込み、いつでも返済できるように黒字の決算書で申告する。これを繰り返した結果、毎月の返済額は大きくなり、その挙句の果てには新規融資は受けられないという状況です。

社長 :売上が低迷し非常に経営が厳しくなってきました。そのため再生計画を作成してきましたので、それに基づいて頑張っていきたいと考えております。つきましては現状の借り入れ返済についての条件変更をお願いしたい。
銀行 :こういう時期ですから、銀行としてもとことん応援していこうと考えております。
社長 :それは頼もしい!(再生計画を見せながら)各銀行さんへの条件変更は依頼しております。
銀行 :各行への条件変更による元金返済額は、もちろんプロラタ返済ですね?
社長 :そのように計算しましたが、貴行は借入残高が一番少ないので、割合で計算すると返済額はなくなってしまうので、毎月3万円にしました。
銀行 :検討します。

これで帰って行くのですが、後日、”他行はどうなりました?”、”もう少し返済額を増やせませんか?”、”何か追加担保は入れれませんか?”、”できれば一括返済はできませんか?・・・・”。銀行の部長さんが言っている、”とことん応援していこうと考えている”の質問とは思われません。まあ貸す側と借りる側の事情の違いが大きいのでしょう。どちらにしても、結論的には応援していただく事になります。

利益改善ができないままの新規融資を受け続けるのか?、利益改善ができるまでリスケするのか?それぞれの企業の事情によって選択する方法は違うのでしょうが、無策な状況での追加融資より、戦略的リスケ。これも一つの大きな選択だと思います。

どちらにしても経営は戦略的にそして計画的に。そして常に計画を検証し、改善し実行する。これが基本でしょう。

※リスケ・・・リスケジュール、返済を見直すという事
※プロラタ返済・・複数の金融機関から借入をしている際に、借入金額に応じて比例的に返済額を決める、返済することを意味する。

やこやこ

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