オペレーション部門の橋本です。
 
今回は、社会保険の「定時決定」「随時改定」についてです。p2_001

皆さんは、月々のお給料から控除されている社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が、どのように決定されているかご存知ですか?

社会保険料は、入社時におおよその報酬月額を決め、それを保険料額表に当てはめて、該当する標準報酬月額(等級)から算出しています。

その後、実際の報酬に見合った社会保険料となるよう、「定時決定」「随時改定」で変更をしていきます。

では、どのような手順で行なわれるのか詳しく見ていきましょう。

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 定時決定

 
会社員の方は、耳にしたことがあるかもしれませんね。
これは、年1回の社会保険料(健康保険と厚生年金)の見直しをするものです。
報酬と社会保険料は正比例してて、報酬の多い人ほど社会保険料も高くなります。
しかし、報酬はいつも同じではありませんよね。
報酬が変わるのに社会保険料が変わらないというのはおかしいので、年1回の見直しをします。
その対象が、4月、5月、6月支給の報酬です。

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この3ヶ月の平均で、新たな標準報酬月額を決定し、9月分から翌年8月分までの原則1年間適用します。厚生年金は、将来受け取る年金額等の計算の基礎にもなります。
対象者は、7月1日現在 在籍される全被保険者ですが、6月1日以降に資格取得された方と、7月、8月、9月に月額変更届を提出する方は対象外です。
また、支払基礎日数が17日以上の月が対象で、17日以下の月は計算に含みません。
この届出を社会保険事務所に提出するのですが、これを「算定基礎届」と言います。
 
余談ですが、よく「社会保険料が高いから安くする方法、何かない?」と聞かれます。しいて言えば、この間はあまり残業しないで報酬を押さえることですが、そんな簡単にはいかないですよね。
 

  随時改定

(月額変更届)

 
これは、固定的賃金に昇給や降給で変動があった場合に、定時決定を待たずに行うものです。
次の3つの条件を全て満たす場合に行います。
 

1.固定的賃金に変動があること

  (固定的賃金=基本給、家族手当、住宅手当、役職手当、給与体系の変更等)

2.変動月から3ヶ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に
  該当する標準報酬月額と、従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差があること

  (標準報酬月額の上限・下限の場合は、1等級の差でも対象)

3.3ヶ月とも支払基礎日数が17日以上あること

 
変更された標準報酬月額は、変動から4ヶ月目以降適用します。
図にするとこんな感じです。
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また、随時改定にも対象にならない場合があります。
 

1.固定的賃金は上がったが、残業手当等の非固定的賃金が減ったため、変動後の3ヶ月の
  平均額による標準報酬月額が従前より下がり、2等級以上の差が生じた場合

2.固定的賃金は下がったが、非固定的賃金が増加したため、変動後の3ヶ月の平均額による
  標準報酬月額が従前より上がり、2等級以上の差が生じた場合

 
これは、少しややこしいですね。
とにかく、固定的賃金が上がった場合は等級も上がり、固定的賃金が下がった場合は等級も下がっていないといけません。
これを「上がり下がりの原則」と言います。
 
表にして整理してみましょう。
定 時 決 定 随 時 改 定
対象者 7月1日現在の被保険者
(6月1日から7月1日に
 資格取得した人を除く)
固定的賃金に変更のあった人
算定対象月
支払基礎日数が17日以上の4・5・6月
(17日以下の月は含まない)
変更した月以降3ヶ月

月変対象
条件

3つの条件を
全て満たす
必要あり

× 3ヶ月とも支払い基礎日数が17日以上

従前と2等級以上の差がある

固定的賃金と標準報酬月額、ともにup
または
固定的賃金と標準報酬月額、ともにdown

対象と
ならない人
7月・8月・9月に月額変更届を
提出する人
固定的賃金がupだが、総額ではdown
または
固定的賃金がdownだが、総額ではup
新しい
標準報酬月額は
9月分より翌年8月分まで適用
6月以前に改定された場合、
再び随時改定がない限り当年の8月分まで

7月以降に改定された場合、
再び随時改定がない限り翌年の8月分まで

あと1点、随時改定で、改正があります。

60歳以上で、退職後継続再雇用される場合、明らかに大幅に等級が変わる場合、一旦資格喪失をし、再度資格取得が出来るようになりました。(平成25年4月1日施行)

これをすることによって、3ヶ月待たなくて、すぐに変更が出来ます。

等級が下がる人にとっては、いい改正ですね。

今までは、「60歳から64歳までの厚生年金を受け取る権利のある方」のみでしたが、この制限がなくなりました。

 

 
どうでしょうか?
ちょうど、算定基礎届の提出の時期です。
この届出が反映されるのは、9月分の保険料からです。
少し先ですが、給与明細書で、ご自身の社会保険料を確認して下さいね。
 
今回、文字が多く読みにくかったかもしれませんが、ご容赦下さい。
(文中の図は、日本年金機構のHPよりお借りしました)
  
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