最近、運動不足を感じていました。そんな折り、辻さんが六甲登山をするとおっしゃいます。辻さん曰く、「まあ六甲山をひと山越えて、有馬まで行くんですわ。それから温泉につかって、ビールでも飲みましょう」いいねえいいねえ。

無理矢理ついて行くことになりました。阪急芦屋川駅から歩いて、芦屋ロックガーデンに着きます。岩山を登るのですが、僕は岩だらけのところは初めてなので往生しました。そして、風吹き岩というところでひと休みです。辻さんにシュークリームをもらいました。さあ、もうこの山を下りれば有馬だろう。そう思っている僕の横で、辻さんがはるか遠くの山々を指して、「あの、ほら、てっぺんのアンテナあるでしょう。あそこを通って、もうちょっと行くと頂上です」とのたまいます。ちょっと気が遠くなりました。

 
そのあと、おたふく山に登って、ゴルフ場を横切って、ななまがり峠を越えて、六甲山頂に到着。僕は汗だくです。なんか話と違うぞ。辻さんはシュークリームをくれたり、換えの下着を貸してくれたり、いろいろ気遣ってくれます。でも僕は、「なにがひと山越えて有馬でビールだ」と、心の中で彼を恨むのでした。なんて小さな人間。

次は下りです。でも辻さんは登山道を通りません。「ショートカットですわ」と、最近覚えたパソコン用語をにこにこと喋りながら木々の間を抜けていきます。有馬に着いたとき、僕の膝は笑っていました。

その後は、お好み焼きやさんで昼ごはん、かの有名な有馬温泉に浸かり、昼間からビールを飲んで、帰り道はロープウェイでした。神戸の街並みを見おろしながら、「はよう先生も彼女をつくって、でえとなんかに連れて来なはれ」と、辻さんはおっしゃいます。涙がでそうでした。

とはいえ、六甲はいい山でした。次は春先、新緑の薫る頃に行こうと思います。

のんきに眠るいのしし。食ったらうまそうだ。

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