僕がデジタルカメラを好きな理由は、「自由」だからである。

・フィルムからの自由

・撮影スタイルからの自由

僕は高校生の時、写真部に在籍していた。サッカーをやめてふらふらと漂っていた僕をひろってくれたのが、写真部だった。「写真をとるのだ」と母にいったら、それではくれてやるということで、1万円ももらった。これは奇跡のような出来ごとだったが、そのお金とバイトでためた1万円で、僕は中古でOM1という、とてもコンパクトな一眼レフを手にいれた。こうして、僕のカメラ生活がはじまった。

しかし、フィルムというのは1本何百円もして、現像代も、1枚30円ぐらいしていたので、貧乏な高校生にはちょっと苦しい趣味であった。今の「同時プリントは無料」という状況は、夢のようなことである。しょうがないので部費を多めに申請してフィルムを買い、現像はネガだけで焼き増しはなし、部室にある暗室で白黒の写真をちまちま焼くということになった。ネガ現像だけやっていく僕をカメラ屋さんはきっと怪しいやつだと思っていたことだろう。人にみせられない投稿写真とか隠し撮りとか。

もちろんそんなものは撮ってなかったけど、写真屋さんを通さなくていいというのは、すごい解放感なのである。デジカメはパソコンがあれば、現像焼き付け加工焼き増しが、自分だけで出来る。しかも、枚数制限はないに等しいので、ぱちぱち自由に撮れるし、気に入らないものはその場で消せる。これが「フィルムからの自由」である。

それでも、カメラが僕に与えてくれたのは、「新しい視点」だった。どんな風景や人物でも、カメラを通して見るとまた別の表情をする。普通の近所の曲がり角に意外な感動を覚えたり、カメラを向けられた人達ははにかんで、普段と違うかわいさを見せたりする。つまり、被写体と自分との間に、微妙な緊張関係が生まれる。それがまた、写真を撮るおもしろさだ。

しかし、写真を撮る側と撮られる側の両方が構えているというのは、ちょっとしんどい状況ではある。もうちょっとライトな関係は築けないものか。デジカメは写ルンですみたいに、軽いものがでていて、持ち運びも手軽だし、自由なスタイルで撮影できる。特に僕の持っているカシオのQV10は、レンズがくるりと回転するので、下を向いて撮ったり、自分に向けて撮ったり、その辺がすごく自由である。シャッター音もしないので、まわりに気を使うこともない。

 

というわけで今回は「である」調で攻めてみました。ちょっと堅かったようです、すいません。次回は最近のデジカメ事情について、さらにお勧めの機種についてお話しします。と、まるやまはどこに行ってしまったんだろう。

 

デジカメ編その2

 「自由じゃなけりゃあ意味がねえんだよ」

17歳の尾崎豊は叫びました。

 僕がデジカメを好きな理由は、自由だからである。

その自由さについては前回お話したので、今回は具体的に好きな機種についてです。まったく、どうしてここまで、と思えるくらいにデジカメの新機種が続々と出てきます。その種類の多さに、戸惑われている人も多いでしょう。

 厳しいことをいうと、デジカメというのは画質がいいものではありません。いわゆる「メガピクセル」と呼ばれる高性能のやつでも、その画素数は100万です。画素数というのは、どれだけの色が出せるかという、カメラの性能の良さを計るものだと思ってください。今のデジカメは値段に比例して画素数が上がっていきます。だいたい10万画素あたり1万円です。

 つまり、10万円ぐらい出せば100万画素のメガピクセルを手に入れられるわけです。1年前まではメガピクセルのやつは100万円しました。いい時代ですねえ。でも、「写ルんです」の画素数は600万ぐらいあります。今のところ、画質の良さを求めるのであればフィルムで撮るカメラの方がいいでしょう。

 ということで、僕は「自由」をキーワードにデジカメを考えます。

まずカシオのQV10です。これは僕が初めて買ったデジカメで、今も使っています。画素数は25万、もっといい物も持っていたのですが、手放しました。画質はお世辞にもいいとはいえませんが、なんといっても「撮影スタイルから自由になれる」というのが最高です。くるりと回転するレンズ、軽いし、96枚も撮れるし、操作性もシンプルです。Y田さんはこれをせいでんの安売りで9800円で手に入れたそうです。その話を聞いた日、僕は枕を濡らして眠りにつきました。

 次はパナソニックのCOOLSHOTです。胸ポケットに入ってしまう小ささと、それでも35万画素という高性能です。パソコンとの連携も、専用のスタンドに置くだけで、充電までできちゃいます。「フットワークが自由になる」といえると思います。これは僕の山の師匠であるつじさんが手に入れて、買ったその日に教室に見せびらかしに来ました。くそう。

 さて、今僕が秘かに心ときめかしているのが、SONYのマビカです。フロッピーディスクにデータを保存してくれるので、パソコンとケーブルをつなぐ必要がなくなります。「ケーブルからの自由」といえるでしょう。ちょっと大きいのが難点ですが。SONYはいいものを作りますねえ。これはフリーズ編集長の藤原氏が狙っています。はやく買って、はやく飽きて、はやくシンプルコムに寄付してくれることを祈っています。

 高校生のときに出会ったカメラは、僕の視点を自由にしてくれました。学校と家との往復だけだった僕の行動範囲を拡げてくれました。時には学校をサボって(すまんおかん)、海に行って昼寝をしながら寄せてはかえす波を見ていたりしました。ファインダーから覗いて見える、風景や学校やクラスメートの顔なんかが、閉じこもりがちだった僕を外の世界に連れ出してくれたのでしょう。僕は17歳のときに、自由の何たるかの、ほんの一部分を知ったような気がします。

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