最近すがたを見かけないと思っていたまるやまが、ある日ふとあらわれた。なんでも、3週間程体調をこわして、入院していたという。しかも、悪性のウィルスにやられたのだというから、恐ろしい話です。まるやま曰く、「いやあ、点滴はききますね」だそうです。なににきくねん。

ウィルスと人間の関係というのは、深く知れば知る程おもしろいものです。人類の歴史に、ウィルスは深くかかわっているらしいです。例えば、昔から人間は病気でたくさん死にます。中世ヨーロッパでは、ペストで人口が半分くらいになってしまったこともあります。まさに歴史を変えてしまう程の大事件ですね。ただ、そういった事例は「記録に残っている」からわかるので、記録に残っていない歴史には、人類は何度も絶滅寸前までいっていたのではないか、というのです。そこにでてくる病原菌がウィルスです。正確にはウィルスは菌ではなく、遺伝子にとりついて悪さをするやつなので、もうこれは治し様のない病気です。風邪が流行ったときに、いつもは健康で丈夫な人がかかってしまうというのも、風邪がウィルスの病気だからです。

つまり、ウィルス性の病気というのは、「かかる人はかかる、大丈夫な人は大丈夫」という、ものすごく明解で残酷なものなのです。これには免疫システムの話とかいろいろ絡んできます。病原菌が人のからだにはいると、人の中にそれをやっつける免疫ができます。この免疫ができる前に体が弱ってしまうと、死んでしまうわけです。また、AのウィルスにはAの免疫というように、相性もあります。ここで、Aの免疫をつくれない人もいて、その人は死んでしまうわけです。だから、いくら健康に気をつかっていても防ぎ様のないものなのです。

今、デジタルの世界にもウィルスが流行っています。ネットワークなどから自分のコンピュータに入り込み、データをこわしてしまうというものです。中には潜伏期間があって、すぐには発病せずに、その間に多くの人に配られるなど、被害が拡大してしまうものもあります。

昨年4月、厚生省のホームページからダウンロードできるデータに、ウィルスが潜んでいた、という事件がありました。厚生省みたいに健康に気を使っているところでも、ウィルスは防げないのです。通産省の関連団体によると、「法人の約2割程度は、なんらかのウィルス被害にあっているのでは」ということです。この被害を最小限におさえるためには、正しい知識と対策が必要になります。

というわけで、次回はちょっとインテリジェントに、コンピュータウィルスのお話です。

一般に、コンピューターにとりつく悪いプログラムには、2種類あるといわれています。ひとつは「ウィルス」です。他人のコンピューターの中の、別のプログラムに寄生してわるさを働きます。ちょうど本物のウィルスが、人間のDNAにとりついて、最後には死なせてしまうのに似ているからです。最近ではエクセルとワードにとりついて、データを破壊する「ラルー」、「キャップ」が有名です。厚生省のデータにとりついていて、みんながダウンロードできたというのも、このタイプです。もうひとつは「ワーム」と呼ばれています。こいつは、ウィルスと違って特定の宿主(プログラム)を必要としません。パソコンの中やネットワークを自分で動き回り、たまに変身したりもします。こいつに祟られたネットワークは悲惨です。ちょうど虫(ワーム)が服に穴をあけていくように、ネットワークデータをずたずたにしていきます。

さて、こういうものをつくっている連中のことを、世間では「ハッカー」と呼んでいます。ハッカーの本来の意味はちょっと違うのですが、とりあえず他人様に迷惑をかけるマニアたち、ということにしておきます。彼らは、すましたエリートたちのつくったシステムに挑戦し、侵入し、あざわらいながらデータを盗んだりします。それはとても痛快なことで、弱いものが強い者を叩きのめすカタルシスがあります。僕も高校生のとき、こんな人達にあこがれたものでした。たとえば「ルパン三世」みたいに、わるい人だけどヒーローでもあるという感じです。

しかしどうにも、現実のこういった人間たちは、尊敬には値しないですね。悪意があろうとなかろうと、人様のデータに侵入するというのは「のぞき見」で、留守中に家に忍び込んで、机の引き出しをこじあけて日記を読んだりするのと同じことです。僕は自分の書いたラブレターとか読まれるの、やです。書かないけど。
最近ではこういった人達も社会的に役に立っているようです。泥棒が得意な人は、泥棒のことをよく知っている人です。そこで、彼らの一部は、会社などのセキュリティチェックのコンサルティングをしていたりします。会社のネットワークはそれだけでものすごい財産ですから、それを守るためには知識とお金が必要です。片方は知識が必要で、片方はお金が欲しくて、これで利害も一致しますね。むかしハッカーだったというのも、はくがついて有利です。もと強盗が、警備会社の営業をしているような、奇妙な現実です。

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