社員税理士の光島です。

インボイス-0

今回は、複数の(消費)税率が存在する場合の経理業務について考えてみたいと思います。

 

ここ数日、消費税の軽減税率の話題で持ちきりですね。

「軽減税率の対象は、どのようなものになるのか?」

「どのような範囲のものになるのか?」

「何処で線引きされるのか?」

 

大変興味深く、悩ましい問題がたくさんです。

今後しっかりと研究して、対応策を考えないといけません。

 

 

詳細は本日決定!

 
この消費税の軽減税率制度の詳細は、本日(平成27年12月16日)決定される(できるのかな?)と見込まれる与党の税制改正大綱に盛り込まれるようです。

これ以外の改正項目についてはほぼ決定しているので、すでに「平成28年度税制改正大綱(案)平成27年12月10日自由民主党」として公表されているのですが、実は、このうち消費税の軽減税率制度の項目については、空白になっていました。この空白部分が、埋まるんでしょうね。


軽減税率の対象範囲の線引き等については、この決定された大綱を見てからでないとなんとも言えませんので、またの機会にご紹介いたします。

 

軽減税率導入の影響は?

 
さて、軽減税率が導入された場合に、われわれの経理業務にどのように影響があるのでしょうか?


自由民主党のWebページより
 [幹事長記者会見 軽減税率に関する自公幹事長協議をうけて 谷垣幹事長会見 平成27年12月12日]
https://www.jimin.jp/news/press/chief-secretary/131041.html

上記の谷垣幹事長会見では、次のように述べています。

 

「本日、軽減税率制度の大枠案を自公で合意いたしました。今から合意内容を申し上げたいと存じます。(中略)  

4、平成33年4月にインボイス制度を導入する。それまでの間は、簡素な方法とする。

5、軽減税率制度の導入により混乱が生じないよう、政府・与党一体となり万全の準備を進める。


このため、政府・与党に必要な体制を整備するとともに、事業者の準備状況等を検証しつつ、必要に
応じて、軽減税率制度の円滑な導入・運用に資するための必要な措置を講ずる。(以降省略)」


「インボイス制度」の導入と、その経過措置としての「簡素な方法」(経理方法)という言葉が出てきました。


どうやら、平成33年の4月以降は、インボイスという書類を発行しなければならないこと、そして、それまでは、「簡素な方法」で処理しなければならないようです。

 

 

「インボイス」って何?

 
前者の「インボイス」というのは、財務省のWebページの『請求書等保存方式』と『インボイス方式』 によると、”適用税率や税額など法定されている記載事項が記載された書類。欧州においては、免税事業者と区別するため、課税事業者に固有の番号を付与してその記載も義務付けて”いる、とあります。

 


インボイス-1


「インボイス制度」を導入している国々では、このインボイスを集計するだけで、正しい税額を計算することができるので、インボイス取得者による消費税の可否判定等でのあいまいな部分がかなり排除されます。

平成33年4月以降は、日本でも、このインボイスの発行が義務付けられるということになるでしょう。
(もしかすると、法人版のマイナンバーは、この時にも利用されるのかもしれませんね)
この場合、様式が公表されるのではなく、必要な記載事項が示される形になるかもしれません。

先ほどの財務省資料のイギリスのインボイスの例だと、

○ インボイス発行元の名称・住所・電話番号
○ インボイス発行先の名称・住所
○ インボイス発行元のVAT登録番号
○ 課税対象となる商品の 数量・摘要・単価
○ 適用VAT税率・税額

などが、必要記載事項として考えられます。

 

ここで、注意しなければならないのが、欧州で広く使われている「インボイス制度」が採用された場合、免税事業者はインボイスが発行できないことになります。(登録番号がないため)

免税事業者が、消費税を販売価格に転嫁(上乗せ)することは制限されていないのですが、インボイスが発行出来ないので、購入者(仕入側)からすると、消費税の仕入税額控除できないために、単なる仕入価格の上昇ということになります。
よって、商品等を購入する場合には、税込金額が同じであれば課税事業者から購入したほうが安く買えることになってしまいます。

 

 

一方の「簡素な方法」って?

 
次に、「簡素な方法」とは何かということですが、これは、現在の請求書等に、それぞれの税率の対象となっている金額と税率と税額を別途記載する事のようです。
(今後、国税庁等のQ&A等で公表されていくと思います)

日本の場合は、「インボイス方式」ではなく、「請求書等保存方式」を採用しています。

 

インボイス-2
 

この「請求書等保存方式」は、「帳簿の保存」+「取引の相手方(第三者)が発行した請求書等」という客観的な証拠書類の保存を仕入税額控除の要件としています。
 
ただし、請求書等に適用税率・税額を記載することは義務付けられていませんので、単一税率の下では、請求書等に税額が別記されていなくても仕入税額の計算に支障はありませんが、複数税率の場合、請求書等に適用税率・税額の記載がないと適正な仕入税額の計算は困難となります。

そこで、それぞれの税率及び税額を明記することによって、適正な仕入れ税額を計算できるようになるという算段です。

「インボイス制度」と異なり、免税事業者でも請求書を発行することが出来ますので、先ほどの問題は回避されますが、免税事業者には益税問題が残ってしまいます。

 

今後、消費税の税率が上がる度に、その存在感は大きくなっていき、消費税の納税者である課税事業者に対する当局からの要求もまた大きくなっていくと考えられます。

正しい経理処理は、適正な税額を計算するための第一歩です。少しの努力(事務負担増ではありますが・・・)を惜しんで、多額の納税をしなくてもいいように、IT等を駆使しながらしっかりと節税していきましょう!

*文中の「インボイス」「請求書方式」の図は、財務省のHPからお借りしました。

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