監査二部門の梅本です。

前々回のコラム「法人税軽減税率延長見込みです」で、法人税の税率の話を書きました。税率や税負担について、下記3つを少し解説していきましょう。
 

「日本は法人税率が高い」
「日本は、法人税を払っていない企業の方が多い」
「大企業は、法人税が優遇されている」

 
実際によく話題に出ること、よく聞かれることで、イメージやどこからか聞いてきたお話だと思います。
実際どれも「正解」は無いのですが、間違っているわけではありません。
 

「日本は法人税率が高い」

これは、前々回お話したとおりです。数字としての税率は、諸外国に比べ確かに高いです。

 

「日本は、法人税を払っていない企業の方が多い」

これは、実際にその通りでしょう。
日本の企業のうち、資本金1億円以下の中小企業が99%です。さらに中小企業の内、約6割が赤字です。

赤字の会社は、法人税を納める必要がありません。そして1度だした赤字は、翌年以降の黒字と相殺できる「欠損金の繰越控除」制度もあることから、法人税を納める会社がさらに減ってしまいます。

 
では最後に

「大企業は、法人税が優遇されている」

こう言われる理由として、一部の大企業は、決算書上の利益に対して著しく法人税が少ないのです。
そのため、高いはずの法人税率が、極端に税率が低く見えてしまいます。
また、あのトヨタが5年間法人税を払っていない事も一時期話題になりました。

実際はどうなのでしょうか。
税制として、考えられるのは「欠損金の繰越控除」「受取配当等の益金不算入」「試験研究費の特別控除」でしょうか。

 

「受取配当等の益金不参入」

ものすごく簡単に説明すると、「会社が貰った配当金には課税しない」という事です。
決算書上、利益にはあがるけれど、法人税は負担しない。

持ち株会社であるソフトバンクは子会社からの配当が多い、トヨタも海外子会社からの配当が多い。
そのため、利益に対する税負担が著しく低くみえてしまします。

 

「試験研究費の特別控除」

ものすごく簡単に説明すると、「研究開発費用をたくさん使ったら、法人税を控除します」という事です。

 
ただし、「欠損金の繰越控除」「受取配当等の益金不算入」「試験研究費の特別控除」も、大企業だけに認められている制度ではありません。現在では大企業に関しては、「欠損金の繰越控除」も一定の制限がされています。

中小企業が優遇されている税制も多いため、大企業だけが法人税が優遇されているわけではなさそうです。もちろん「なんでこんな制度作ってん!」とツッコミをいれたくなる税制も多いです。税負担は、公平にしていただきたいものですね。

  
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