監査業務担当の内藤です。
皆様の中に、代表者の配偶者や親を非常勤役員として報酬を支払っているという方もおられるのではないでしょうか。
本日は、国税不服審判所の裁決(平成17年12月19日裁決、裁決事例集No70、215頁)を参考に非常勤役員の報酬の金額について解説していこうと思います。
 

本件事実

1月決算である建築業を営む法人(A社)は代表者の母親(非常勤役員)に対し、平成15年1月期に3,300万円(月額は300万円で11か月分)、平成16年1月期に3,600万円の役員報酬を支給し、本件各事業年度の損金の額に算入した。当該役員報酬が不相当に高額だということで、一部否認されることとなったが、納税者と税務署とで不相当に高額な部分の金額について係争が生じた。

 

≪A社の主張≫

・代表者の母親は、設立時における尽力が大きく、代表取締役のよき相談相手として経営に参画している。

・A社の従業員に対する給与支給額を参酌して算定することが最も妥当であるところ、請求人は、従業員のBに対して月額50万円の給与を支給していることから、月額50万円が相当であるから、本件適正報酬額は、平成15年1月期は550万円及び平成16年1月期は600万円となる。(さすがに月額300万円は高すぎだったと認め、月額50万円が適正だったと主張しています。)

 

≪税務署の主張≫

・代表者の母親の職務は、主に従業員からの相談を受けることであり、他に取締役として決められた職務はない。

・類似法人として抽出した、平成15年1月期は10社及び平成16年1月期は6社の非常勤取締役の報酬額の平均値によることが相当と認められ、本件適正報酬額は、平成15年1月期は129万5千円及び平成16年1月期は186万円である。

 

【審判所の判断】

・設立時における役割、貢献度等自体は職務の内容の構成要素でないことは明らかであり、また、尽力が大きいというのもその判断は極めて主観的で、何をもって大きいというのか甚だあいまいである上、よき相談相手というのも同様に客観性・具体性に欠けるものであり、上記主張を認められない。

・A社の主張する従業員のBに対する給与50万円を参酌することの合理性はない。

・税務署が採用した類似法人の非常勤役員報酬の平均額を用いることは合理性がある。

 

【解説】
この裁決事例では審判所は税務署の主張をほぼ認める判断をくだしています。
 
常勤役員・非常勤役員の報酬については、職務の内容及び類似法人の平均給与が重要視されております。ここでいう類似法人の算出方法ですが、所轄税務署及び近隣税務署の管内で業種や売上規模等で類似する法人を抽出していくわけですが、売上金額を基準としている場合が多いです。売上金額の0.5倍以上2倍以内の売上金額である法人を抽出します(いわゆる倍半基準)。
 
例えば、売上金額が1億円である法人の類似法人を抽出するときは売上金額が5,000万円~2憶円の法人を抽出するわけです。この事例では、平成15年1月期は10社、平成16年1月期は6社を選定しています。
 
となると、近隣法人の報酬の額に強く依存することとなります。納税者は近隣法人の報酬など知りようがありません。ですから役員報酬がこの金額で問題ないということは断言が難しいということになりますが、この事例から非常勤役員の報酬について、年収180万程度であれば特に決められた職務がなくとも支給して問題ないように思います。
 
この金額を超えているから直ちに否認されるということはないでしょうが、一つの指標として参考になさってください。

  
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