賛成とか、反対とかは置いといて。
今回の事件で東京の人たちが「自分のこと」として、原発を考えるようになった、ということだ。

小学生の頃、いつも遊んでた空き地に、続々と人が集まってきた。
原発反対の団体と、それを取り囲むマスコミ。
「テレビ来た、テレビ!」僕らは大はしゃぎだった。
僕が高校生まで暮らした新潟県の巻町というところは、原発立地の候補地だった。
多額の補助金が、国や東京電力からでて、町はピカピカの公民館、病院、小学校、中学校が建てられた。
僕は原発のおかげで、きれいな小中学校に通えた。
「原・発!反・対!ヒア・リング!阻・止!」
原発反対の人たちは、シュプレヒコールをあげながら、広場をぐるぐるまわっていた。
東北電力が、原発についてのヒアリングをやる。反対集会、ということだった。

多感な時期を、原発反対の空気の中で過ごした。
「原発は怖いよ~。危ないよ~」まわりの大人から、ずっと聞かされて育った。
ドクロマークのはいった反対派のビラが、よくポストにはいっていた。
放射能の影響や、原爆とも違う、何世代にもわたる被害のことも勉強した。
目に見えず、匂いもない。特効薬もない。
体にはいれば濃縮し、自分はよくても、子供に害が降りかかる。

「怖い原発と理不尽な社会、そしてそれに育てられた自分」
複雑な思春期を過ごした。
原発推進派の息子で、S君というのがいた。
「Sとは遊ぶな」反対派の親戚連中から、寄ってたかって言われた。
「あいつのオヤジは、原発からいっぱい金と仕事をもらってんだ」
そもそも、S君は学級委員をやるくらいイヤな奴だったので、僕とは付き合いはなかった。
ただ、大人の世界が子供に持ち込まれるのが面倒くさかった。

チェルノブイリの事故が起きた。
怖くて眠れない夜もあったし、放射性物質が雪のように降ってくる、悪夢もみた。
広瀬隆の本も読んだ。「危ない話」「東京に原発を!」
政治と経済の理不尽さに、「革マル」みたいな人達とも話をしたりした。
でも、何も解決しないまま、僕は東京に行って気ままな生活を始めた。
現地を離れて冷静になると、被爆と被曝の違いが、すんなりとわかった。
「電気ないとダメじゃん。原発反対の人は、他の手段を提案しろよ。ついでにカネだせよ」
それが僕の考え方になった。今でも基本、そうだ。

他人事にしておかなければ、こわくてこわくて、自分がつぶれてしまう。

結局、なぜ原発なのか、というのは、儲かるからだ。
自治体には補助金がでる。そうやってハコモノがつくられる。
それだけではなく、建設工事の費用や、燃料の調達や、多くの人、場所がお金にありつける。
もちろん、完成してからの発電効率は、圧倒的に高い。
詳しくは省くが、もっとも「費用対効果」の高い発電方法が原発なのだ。

それならば、たとえ儲からなくとも、リスクの低い電力供給の方法も、今はたくさんある。
本命は太陽光だろうが、風力、地熱、潮力といった自然を利用するもの。
火力はCO2、水力はダムというリスク、地熱も地殻変動というリスク、それぞれにリスクがともなう。
微振動から電気、という非常に環境リスクの低いやり方もある。
いずれにしても、原発の事故と比べて、事故が起こった際のリスクは非常に少ない。
今回の事件で、そのコストとリスクという関係を、多くの人が考えるようになったと思う。
福島原発も廃炉にされ、その周辺は何十年も立ち入り禁止になるだろう。
そして、「じゃあ、代わりに原発、どこにつくる?」という議論になるのか。
それとも、不便でコストがかかるが、別の方法に光があたるのか。
やっと、東京の人たちが、考えるようになった、と思う。

で、さっきから、なぜ「日本の人たち」ではなく「東京の人たち」としているか。
今のところ、関西圏には関係のない話だからだ。他人事なのである。
もちろん、関西圏の人も心配し、心を痛めているが、それも長くない、と思う。
東京の人、「もんじゅ」の事故をおぼえていますか?というより、「もんじゅ」がどこにあったか、知ってますか?
放射能が風で流されても、東京に届くかもしれないが、関西には届かない。
先日、おっちゃん達が、話していた。
「これで、東京のやつらみんな、つるっぱけになるんとちゃう~」
「でもって、みんなインポや、インポ」
「えらいこっちゃ、わはははは」
僕は怒りを覚えたが、おっちゃん達を非難することはできなかった。
チェルノブイリの時、高校生の僕が、まったく同じことを言ってたのを思い出したからだ。

巻町の原発がその後どうなったかは、各々で調べて欲しい。

コメント

One thought on “放射能・飛んでこなけりゃ・他人事

  • じょんのび より:

    巻町は住民投票を行って、反対多数で原発を退けました。
    推進派と反対派と、町内を真っ二つにわけた投票でした。
    2人の町長候補のいざこざもありました。
    東北電力はその後、建設をあきらめました。
    巻町は現在、新潟市と合併してます。

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