監査業務担当の内藤です。
先月、お客様から役員や社員に社宅を貸している場合の処理についてご質問がありましたので、今回はこのことを使用人の場合と役員の場合に分けて2部構成で書いていきたいと思います。
 
使用人に社宅を貸与している場合、使用人から毎月一定額(以下「賃貸料相当額」とする。)以上を受け取っていればその使用人に対して給与課税されません。そのため、まずは賃貸料相当額がいくらなのかを出さなければなりません。以下の計算式で求められます。

使用人に社宅を貸している場合

① (その年度の建物の固定資産税の課税標準額) × 0.2%

② 12円×(その建物の総床面積(平方メートル) / 3.3㎡)

③ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額) × 0.22%

 
(注)会社などが所有している社宅や寮などを貸与する場合に限らず、他から借りて貸与する場合でも、上記の①から③を合計した金額が賃貸料相当額となります。したがって、他から借り受けた社宅や寮などを貸す場合にも、貸主等から固定資産税の課税標準額などを確認することが必要です。

参照元 国税庁HP:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2597.htm

では、具体例を使って計算してみましょう。

例:マンションの一室

建物の固定資産税の課税標準 15,000,000円

土地の固定資産税の課税標準  7,500,000円(マンション一室に対応する部分)

マンション一室の床面積 66㎡

① 15,000,000 × 0.2% = 30,000

② 12円 ×(66㎡/3.3㎡)= 240

③ 7,500,000 × 0.22%=16,500

①+②+③=46,740

この部屋の賃料相当額は46,740円となりました。
ではこの46,740円を使用人から受け取れば良いのか?といえばそうではありません。続きがございます。
 
ここから重要な通達がございまして、所得税法基本通達36-47では、「使用者が使用人に対して貸与した住宅等につき当該使用人から実際に徴収している賃貸料の額が、当該住宅等につき36-45(上記の計算式)により計算した通常の賃貸料の額の50%相当額以上である場合には、当該使用人が住宅等の貸与により受ける経済的利益はないものとする。」(括弧書き筆者加筆)としています。
 
つまり賃貸料相当額の50%以上を受け取っていれば、給与課税される経済的利益はないとしているので、46,740×50%=23,370円以上を毎月従業員から受け取れば良いということです。
 
少し複雑な計算式となっていますが、知っておいて損はない税務かと思います。今回は使用人編ですが、次回は役員編をお送りしたいと思います。
使用人と役員で注意すべき点が異なりますので、次回もお楽しみに。

  
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