みなさまこんにちは 税理士の光島です。
インボイス制度に登録の必要な方の申請は、もうお済みですか?
2023年3月末までに申請書を提出すれば、2023年10月より確実に適格請求書発行事業者に登録されますので、迷う必要のない方は早めに提出してください。
 
さて、申請が完了したら、やれやれとはなりません。インボイス制度は、ここからが本番です
 
申請されている方は、もれなく消費税の課税事業者(納税義務者)になりますので、消費税額の計算が必要です。その計算の元となるのが「帳簿」です。
 
会計ソフトで帳簿をつけている事業者であれば、おおむねソフトウェア上で消費税を計算するにあたっての集計機能が付いているので、正しい消費税区分を入力していれば正しい税額が導き出せます。
 
この区分をする上で、「帳簿に記載が必要な事項」が入力されているかどうかが非常に重要になります。仮に、入力した消費税の区分にしたがって税額を計算したとしても、「帳簿に記載が必要な事項」が入力されていなければ仕入税額控除が認められず、消費税が追徴されることも考えられます。
正しい記帳が、適正な税額を導くのです。
 
では、帳簿には何を書けばいいのかということになるのですが、適格請求書を正しく保存している場合は、軽減税率が導入された令和元年10月1日以降から要求されている記載事項は変わっていません。

1.課税仕入れの相手方の氏名又は名称
2.課税仕入れを行った年月日
3.課税仕入れに係る資産又は役務の内容
(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
4.課税仕入れに係る支払対価の額

この4点を満たしていればいいのですが、「適格請求書」を「正しく保存」されているという条件付きなので、適格でない(インボイス登録していない事業者などが発行する)請求書を受け取った場合には、注意が必要です。
 

<ケース1>
請求書を発行した相手が適格請求書発行事業者であるにも関わらず、要件を満たしていない(適格でない)請求書を受け取った場合 → 発行事業者に再発行を依頼してください。

<ケース2>
請求書を発行した相手が適格請求書発行事業者ではない(以外の)場合

(原則)仕入税額控除ができませんので、あきらめてください
→ ただし・・・・
(経過措置)6年間の経過措置が設けられました。

 
実務では、そうはいってもなかなかどうしてということがたくさん出てくると思いますので、制度の開始から一定期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられました。

  <期間と割合(みなし控除割合)>

令和5年10月1日から令和8年9月30日まで → 仕入税額相当額の 80%
令和8年10月1日から令和11年9月30日まで → 仕入税額相当額の 50%

経過措置の適用を受けるためにも、「帳簿に記載が必要な事項」があります。
上記の1.4.に加えて「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」を記載する必要があります。
 
国税庁のQ&Aでは、帳簿への記載例として

・「80%控除対象」
・「免税事業者からの仕入れ」
・本経過措置の適用対象となる取引に「※」や「☆」といった記号・番号等を表示し、かつ、これらの記号・番号等が「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」を別途「※(☆)は80%控除対象」などと表示する方法でもよいとされています。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-15.pdf
 
この例を参考にすれば、消費税の集計機能がついた会計ソフトの場合、この経過措置に対応する「区分」があると思いますので、その区分が総勘定元帳等に印字されるようにすればいいのではないかと思います。
 
これからは、記帳する際に、原資資料にある「日付」「金額」「相手先」「内容」「税率」以外に、「相手事業者が適格請求書(インボイス)発行事業者かどうか」を見極める必要があり、この見極めが、消費税の納税額に大きく影響を与えることになります。
 
たかが記帳ですが、されど記帳です。

では!

  
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