こんにちは、税理士の嶋﨑です。最近になり、コロナ渦から脱却により人の動きも活発になっているように思います。明るい兆しですが、一方で、業績不振から回復できずに事業の縮小や人員削減をする企業が増えてきているように思います。そこで今回は秋元先生に解雇をする場合についての注意点等を中心にお話を伺いたいと思います。
 

よろしくお願いします。

最近、業績不振を理由として、人員削減をする企業が増えてきていると聞いてます。
今後はコロナ融資の返済等が始まり企業にとっては厳しい状況が続くことも考えられます。
先生にも解雇についての相談等は増えているのでしょうか。

はい。解雇についての相談は以前から多かったのですが、ここ最近増えているように感じます。
以前は、問題がある社員をどうすれば解雇できるかという相談が多かったのですが、ここ最近は業績不振による事業の縮小等による解雇の相談が増えています。
今後、雇用調整助成金の特例措置等が終了すると、解雇がより増えるのではないかと思います。

今まで雇用調整助成金で守られていた雇用が継続できなくなり、解雇が増えるということですね。
先生、解雇に関する一般的なルールをお教えください。

はい。解雇に関するルールは労基法で次のように定められています。あと、労災事故で休業中の期間・産前産後の一定期間は解雇ができないルールがあります。

➀解雇をする場合には少なくとも30日前に予告しなければならない。
➁30日前に予告をしなければ、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

 

特殊な場合を除けば、30日前に予告をするのか、予告をしなければお金を払って解雇して下さいということですね。これだけですと簡単に解雇ができるように思うのですが。

そう思われる方が非常に多いのですが、あくまでも労基法で定められている解雇のルールは解雇の手続に関するルールです。解雇の条件を定めたものではないのです。

予告するかお金を払えば、簡単に解雇ができるということではないのですね。

そうです。あくまでも労基法は、「解雇する場合、手続のルールは守って下さい。手続を守って解雇した場合には、特に指導等はしませんが、解雇で争いになっても関係ありません。」というスタンスです。

なるほどよくわかりました。解雇無効を訴える裁判のニュースをみたことがありますが、争いになった場合は民事ということですね。

そうです。社長は労基法を守ってさえいれば安心と思われている方が多いのですが、労基法の手続を守って解雇した後で、解雇された労働者が労働組合(ユニオン)に駆け込み争いになるケースもよくあります。

労基法を守って解雇をしても争いになる可能性もあるということですね。
先生、解雇をする場合の基準のようなものはありますか。

はい。労働者の解雇については「合理的な理由」が必要であり、社会通念上相当と認められない場合には「権利の濫用」に当たり解雇は無効とされます。

もう少し具体的にお教えいただけますでしょうか。

はい。具体的には判例等で下記基準が必要と言われています。

➀人員削除を行う経営上の必要性
➁会社による十分な解雇回避努力
➂解雇を行う従業員の選定基準およびその適用の合理性
➃解雇を行う従業員や組合との十分な協議

 

解雇を避けるように極力努力をし、それでも解雇を避ける事が難しい場合には、話し合い等を行い慎重に解雇を行うということですね。

そうです。簡単に解雇をすると後で争いになるケースが多くありますので、十分な注意が必要です。私は解雇を未然に防ぐアドバイスはできますが、実際に争いになると、どうすることもできません。

お客様には、解雇を行う場合には必要があれば、事前に弁護士に相談等をすることをすすめています。最近、アメリカのツイッター社が全従業員7,500人のうち約半数に解雇通知をメールで送ったというニュースが話題となりましたが、日本ではまだまだ解雇のハードルは高いです。

私は、会社が生き残る為に解雇をすることは必要な場合もあると思います。税理士ですので会社の人件費等について会計上アドバイスをする事も多くありますが、解雇をする場合にはリスク等を考えて慎重に行う必要があるということですね。

そういうことです。

先生、本日もありがとうございました。

ありがとうございました。

今日のまとめ

➀ 労基法で定める解雇のルール(30日前に予告・予告をしなければお金を払う)はあくまでも手続上のルールである。
➁ 労基法を守って解雇をしても、争いになるケースが多くある。
➂ どうしても解雇を行う必要がある場合には、事後の争いになるリスクを考えて弁護士等の専門家に相談することも検討する。

  
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